海外にも広がる「ビジネスルーティーン」という新しい価値

 準備は万端。最大の難関は、どのくらいの人数が席を立ち、体を動かしてくれるかだ。昨年10月の導入に向け、社内報やポスターで告知するだけでなく、各職場から1~2人の社員を選抜。事前に講習会を開いてストレッチの動きや効果を実感してもらい、職場で率先して「模範演技」をしてもらうよう依頼した。講習を受けたメンバーの多くが新入社員だったことが功を奏し、各職場でも協力的な雰囲気が広がったという。

 また、仕掛け人の倉辺さんは、常務以下の役員に各職場での参加をお願いして回った。そうした成果もあり、柳弘之社長を含め海外の現地法人の責任者が集まるグローバル経営会議の場でも、出席者が冒頭にこのストレッチをするようになった。今では、一部の海外の現地法人の拠点にも導入されている。

 こうした地道な取り組みが功を奏し、企画したプロジェクトチームの予想を上回る高い参加率につながった。倉辺さんも「ブランドスローガンの意味が浸透してきているという実感がある」と手応えを感じている。また、ストレッチの最中に同僚と言葉を交わすなど、コミュニケーションの活性化という副次的な効果も生まれているという。

 ルーティーンといえば、昨年のラグビーワールドカップで日本代表の五郎丸歩選手のキック前のポーズが話題となり、集中力を高めたり、心を落ち着かせたりするその効果が注目されている。振り返れば、かつて多くの企業が導入していた「ラジオ体操」もルーティーンの一種とも言える。ただ体を動かすだけでなく、メッセージ性を持ったストレッチなどの「ビジネスルーティーン」が、新たな企業のコミュニケーションの手法として広がるかもしれない。