ブランドスローガンを広げる目的

ヤマハ発動機の独自ストレッチは全体で5分。途中で腕を前に突きだして手首を下に折る動作は、バイクに乗って「ブルンブルーン」とアクセルを回すイメージだ

 このストレッチの正式名称は「Revストレッチ」。ヤマ発が2013年から掲げてるブランドスローガン「Revs your Heart」から取ったものだ。Revには「回転を増す」「活発にする」といった意味がある。

 その名が示すとおり、このスローガンを全社に浸透させたいという思いが込められていた。Revストレッチのプロジェクトを推進したコーポレートコミュニケーション部ブランド推進グループの倉辺祐子さんは「2013年以降、社員のブランド意識向上のためにいろいろ試みてきたが、なかなか効果的な方法がなかった」と話す。

 ポスターや冊子を作って配布したり、研修や勉強会を開いたり。社員はスローガンそのものは「認知」していても、日常業務を通じてブランド価値を高めたり、周囲にブランドの意味を語れるかといった「理解」や「共感」までは至っていなかった。特に、会社の急成長を知らない20代、30代の社員の間でその傾向が顕著だった。

 こうした状況は、何もヤマ発だけで起こっていることではないだろう。どんなに洗練されたスローガンや理念を打ち出しても、日々の業務に追われる現場の社員に浸透させるのは簡単ではない。単発のイベントでは、効果は一時的なものにとどまってしまう。

 いかに継続的に情報発信し続けるか。そこで目を付けたのが、毎日、始業前に繰り返すストレッチだ。スポーツ選手でも使えるような本格的な動きを取り入れながらも、オフィスを想定して肩幅程度のスペースでも、スカート姿の女性でも無理なく動けるようにするなどの配慮もした。