「経営者としてどこまで目を光らせることができるか」

本田圭佑氏はプレーヤーと経営者の二足のわらじをはく生活を続ける(写真:HONDA ESTILO)
本田圭佑氏はプレーヤーと経営者の二足のわらじをはく生活を続ける(写真:HONDA ESTILO)

 彼らが語った「経営者 本田圭佑」。その声を、イタリアのミラノ郊外の練習場から出て来たばかりの本田に、直接ぶつけた。すると、こんな言葉が返ってきた。

 「上司になる人には、当然その人なりの能力がある。僕がやらないといけないことは、みんなが気づいていないこと、成長するために必要なのに見えていないことを常に知らせる。そしてそのためには常にコミュニケーションを取って、観察することだと思う。声をかけるにしても、良きタイミングでやらないと意味が無い。だからみんなに『経営者の感覚でいて欲しい』と言っていることは、そのアプローチの一つ。もちろんそれだけが大事なわけではなくて、あくまで最低限必須な条件」

 「僕は常に神田や大本を含めて、一人ひとりが何をすべきかに気づかないといけない。そこに目を光らせることが、組織を循環することにつながる。自分が今、何をすべきか。これは簡単そうに見えて、本人が気づきにくいことでもある。サッカー選手としての本田圭佑も、そこに気づけていないことがある。だから僕にその必要性を感じさせてくれる監督は、サッカー界では優れた指導者なんだと思う。選手をハッとさせられるようなアドバイスを、その選手が一番吸収できるようなタイミングでできるか。ビジネスの世界でも、それができる人は優れた上司だと思う」

 「今、自分は普段ミラノにいて、日本やホルン(オーストリア)とは遠距離。さらにこれからはアメリカでも事業が始まる。その中で、どこまで目を光らすことができるか。そんな緻密さが、僕には求められている」

 優れた経営者には、必ず類まれな人心掌握術が備わっている。柔和なやり方から、手綱を締め続ける方法論まで、その成功例は千差万別だ。いずれにしても共通していることは、トップの人間が社員を貴重な“人材”とみなしていること。その観点からすれば、本田は優れた経営者になる素地を、既に有しているのかもしれない。