「会社は自分がリスクを負ってでも必ず守っていく」

本田圭佑氏は昨年12月、米国ロサンゼルスで初めてサッカースクールを開いた(写真:HONDA ESTILO)
本田圭佑氏は昨年12月、米国ロサンゼルスで初めてサッカースクールを開いた(写真:HONDA ESTILO)

 大きな目標を掲げ、現在本田はビジネスを進めようとしている。ある意味、彼の一番近くにいる神田は、経営者・本田の意向と会社のバランス、その両方に目を配ることが求められる。

 時にはトップの判断に『待った』をかけることが必要な場合もある。しかし、神田はあえてそうしていないという。

 「組織が大きくなるにつれて社会的責任も重くなる。今の成長スピードに不安がないと言えば、嘘になるでしょう。本当は僕みたいな立場の人間がブレーキをかけないといけないかもしれないですけど、あまりしていないんですよ。それは、本田は今まであのやり方で成功してきたから。きっと自分たち下の人間が彼のやり方やスピードについていかないと、本田圭佑という独特な人間と仕事をしている意味が無いのかなと思うんです」

 「スクールを2018年までに300校に増やす目標を立てています。当然、さらに雇用も増やす必要があって、新規で立ち上げるということは相応の投資が必要となります。仮にその目標を下方修正すれば、すぐに会社は利益が出てくると思います。ただ、本田も自分たちも一度立てた目標を変えない。変えるのは簡単です。実は、目標に結構抵抗している人もいます。でも会社を良い意味で制御してくれる人が他にいるので、僕は止める必要が無い」

 「それと同時に、問題意識は常に持っています。まだまだ、“本田圭佑”頼みの会社。収入の柱が一つしかありません。これをホルンの経営などを通じて二つ、三つとしていかないと、外からの信頼は得られません」

 組織の頂点、最前線に立つ本田。その1歩後ろに位置する神田は、突き進む推進力と後方の追随状況を意識するバランス感覚が大切になる。ただ、彼は現時点では前に進む力をより優先する。そこには神田が感じる、本田特有の求心力も影響している。

 「僕は今もサラリーマンに変わりはないんですけど、この仕事を始めてから一度も雇われ側と感じたことがありません。どちらかというと本田と一緒に経営している立場だと感じている。それは本田が社員に求めていることでもあります。『一人ひとりが経営者のマインドを持ってほしい』と。本田は組織の人間に対して、『会社は自分がリスクを負ってでも必ず守っていく』とも話しています。その意識を僕らも持つべきだと。サラリーマンとは言え、今の僕は与えられた仕事をしていれば良いわけではない。自分が頭と体を駆使してスポンサーを取ってこなければ、そのうちクラブや会社が潰れるかもしれない。それぐらいの危機感と緊張感を持って働けています」

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