小澤:年の近い男兄弟は何かとぶつかる、というのは分かります(笑)。でも振り返ってみると、視野狭窄に陥っていたときに弟さんの存在はすごく大きかったわけですね。

松浦:そうです。一番いいタイミングと、本当に何というか、古い西部劇のような、インディアンに追われている幌馬車に、騎兵隊が助けにやってくるとかそういう感じ(笑)。

小澤:騎兵隊ですね、なるほど。そのイメージはある世代以上にしか分からないかな(笑)。そしてケアマネさんですね。相性がよかったんですね。

松浦:相性ですね。彼も若くて、確か30そこそこで、熱心にやってくれた。たぶん一番よかったのは、熱意はあるけれど、「つかず離れず」だったということです。過剰に干渉するのではなく、「こういう問題があるんですね、だったら、こういう選択肢があります」という、大変理性的な対応の仕方をしてくれたんです。

小澤:つかず離れずでの、ちょうどいい距離感で。見放すわけではなく、かといって過干渉にもならない。

松浦:そうですね。

小澤:そういうケアマネさんばかりだといいんですけどね。ケアマネはなかなか個性豊かな職種なので、いろいろな方がいらっしゃるんですよ。

松浦:なぜでしょうか?

小澤:「最初からケアマネ」という人がいないからでしょうね。バックグラウンドがいろいろあって、看護師さんでありながらケアマネもいれば、ずっとヘルパーをしてからケアマネさんになったりとか。ドクターでもケアマネの資格があるんですよね。

松浦:なるほど、前職があってケアマネになる。

小澤:そのバックグラウンドによって、職種としては同じケアマネでも、いろいろなやり方が生まれるようです。やや管理的にサービスを押し込んでくる人もいれば、ちゃんと話を聞いてちょうどいいところでのサービスを提供する方もいる。

松浦:先生のやっている「看取り」に携わる方もそうじゃないですか。

小澤:ええ、これが看取りとなるともう本当にさまざまです。今ではかなり経験値が増えてきたと思うんですが。一般的かつ率直に言ってケアマネは「当たり外れ」が多い職業です。というか、相性や経験値の差が出やすい、と言った方がいいのかもしれません。松浦さんにとっては本当にいいケアマネさんに出会えたんですね。

松浦:そこはもう本当にツキです。ツキがあったとすると、ケアマネのTさん、そして今母がお世話になっているグループホームに入居できたこと。こちらは「1年は待たされる」と思ったものが待ちがたった2週間で入居できましたから。

小澤:それが今年の1月23日ですね。

松浦:今年ですね。

それで「仕事ができるようになりました」って、編集部にご連絡をくださったんですものね。

小澤:お母さんは、グループホームに入られた後は。

松浦:その後ですか。まず、入ってからひと月は私がひっくり返っちゃって動くに動けなくなっちゃいました。そのせいで、入居後の母の様子を見に行くことも出来ませんでした。心身両方ともに溜まった疲労のせいですね。もう、朝起きてご飯食べたらまた寝てみたいな状態になってしまって1か月経って行ってみたら、もうだいたい母は慣れていました。

小澤:それまでの介護疲れのリセットの時間が1カ月必要だったんですね。

看取りの対応は、認知症ではどうなりますか

松浦:1つお聞きしたかったんですけれども、小澤先生の看取りの対象となる方の、中心はがん患者の方ですか。

小澤:実際にクリニックでお世話している方は、年間で約300人くらい亡くなりますが、9割はがんですね。認知症の方がだいたい1割以下です。

松浦:ということは、年齢的には意外に若い方がいるということでしょうか。

小澤:はい。60代真ん中ぐらいが平均で、若いと30代、40代もあれば、ご高齢の方でも認知症の方も何人か。かかりつけ医としてずっと長く診ていた方、というよりも、かかりつけの先生が看取りまでできないので、そこからお預かりする形になるんですが。

看取りの対応は、がんと認知症では違いますか。

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