<b>平川 克美(ひらかわ・かつみ)</b><br />文筆家・実業家 1950年東京生まれ。隣町珈琲店主。声と語りのダウンロードサイト「ラジオデイズ」代表。立教大学客員教授。早稲田大学講師。早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、内田樹氏らと翻訳を主業務とするアーバン・トラストレーションを設立。1999年、シリコンバレーのBusiness Cafe.Inc.の設立に参加し、CEOを務める。近著に『<a href="http://amzn.to/2wn1mK7" target="_blank">何かのためではない、特別なこと</a>』『<a href="http://amzn.to/2wnuXTD" target="_blank">喪失の戦後史</a>』『<a href="http://amzn.to/2wnNmzQ" target="_blank">言葉が鍛えられる場所</a>』『<a href="http://amzn.to/2wop2ht" target="_blank">路地裏人生論</a>』など。
平川 克美(ひらかわ・かつみ)
文筆家・実業家 1950年東京生まれ。隣町珈琲店主。声と語りのダウンロードサイト「ラジオデイズ」代表。立教大学客員教授。早稲田大学講師。早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、内田樹氏らと翻訳を主業務とするアーバン・トラストレーションを設立。1999年、シリコンバレーのBusiness Cafe.Inc.の設立に参加し、CEOを務める。近著に『何かのためではない、特別なこと』『喪失の戦後史』『言葉が鍛えられる場所』『路地裏人生論』など。

平川:僕はそれこそ自分の母親に対しては、「ごめん」という感じがすごくあるんですよ。本当に優しい言葉の1つも掛けてあげられなくて。「腰が痛い、腰が痛い」と言うから、いい加減に、「じゃあ、病院に行けばいいじゃないか」と。でも行かないわけですよ。もうおっくうなんですね。痛いし。

松浦:痛いから行かなくちゃ、じゃなくて、痛いから行かない、になっちゃう。

平川:そう。連れて行くまでにずいぶんひどい言葉をぶつけたりして、本当に母親に対してはすまないという気持ちがいっぱいですね。最後に残るのは、「もうちょっと優しくしてあげられなかったのかな」という思いでした。ただ、父親に関してはもうないです。もうやり切ったという感じがあったから、これ以上はないや、という。

 そして、介護を体験すると、自分がこうなった時のことを考えざるを得ません。父親のときは僕がいた。だけど、僕の場合は誰もいないんですよ。娘がいるけど、たぶん無理だと。どうしたらいいんだろうかというのを考えますが、ちょっとやりようがないですね。

松浦:私も、それは強烈に考えましたね。

平川:考えましたか。

松浦:まだ年齢的に、例えば10年なら10年、時間はあるだろう。だから、まず要介護の状態に落ちないようにする。さらに時間が経てば、不幸にも落ちてしまうかもしれない。でも、ある程度準備できるものはあるだろう…というところまでは考えました。じゃあ、自分がそうなっちゃったら、自分がちゃんと自分の状態を、例えば「あ、認知症だ」と判断できるだろうかと考えると、これは何とも分からない。

独身者のリスク、女性のリスク

平川:松浦さんはお子さんは…独身なんですよね。

松浦:子供もいませんし、嫁さんもいませんし、何もない。

 (パソコンをいじって)2015年の国勢調査で、男性の30~34歳の未婚率が47.1%だそうですよ。半分ぐらいが独身です。

松浦:バックアップなしという。

平川:「結婚は安全保障だ」と内田(樹氏)が言っていましたが、本当にそういうところがある。ならば、結婚しないまでも友達を作っておくとかね。でも、なかなか介護までの深入りは。

松浦:そのレベルまでは難しそうですが…。

平川:ただ、介護をしてもらう必要は無くて、適当な病院や施設に放り込んでもらえればいいわけですよ。自分1人だとなかなかそれもできなくなるわけで。

 方や女性の方は「介護を任されるリスク」をすごく真剣に考えていますね。松浦さんのこの本も、買って下さっている方の半分近くが女性なんです。

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