杉田:お元気なままで認知症が進んで、例えば特養とか老人ホームに入って、そこで風邪をこじらせてしまった、という場合、郊外や地方でお医者様の数が少ないところだと、なかなか抜本的な手が打てないまま弱っていって重症になっちゃう、みたいなこともあるようです。病院との連携はなかなか難しい部分があるみたいで。

松浦:連載にちょっと書きましたけれども、母は6月に軽い脳梗塞をやって2週間入院したんですよね。実は預けているグループホームと、その前にかかっていた総合病院がすぐ近くだった。だから、グループホームの方から「脳梗塞っぽい」と私に連絡が来た時、すぐに「この総合病院にカルテがあるから」とそちらに救急搬送してもらうことができた。

杉田:すごくお母さんは運が強い。“持っています”ね。

松浦:ここに来て、非常に引きがいいというか。いや、この段階で引きがよくても、人生あまり面白くないと思いますが(笑)。

杉田:でも、大事なことですよね。

「これから死んでいくことを自覚しよう」

松浦:杉田さんは、普段、お母様とはどんなお話をされるんですか。

杉田:自分も、母も、やっぱり年寄りなんだと言って聞かせたりとかですかね。「私ももう50歳だから、お母さんが元気だったときの私と違って、もう働けないんだよ。お金だってもう稼げないんだよ。老老介護なんだよ」と。そうすると「そうだね、老老介護だね」と。

 だから、質素に暮らそう、早寝しよう。夜遅くまで映画を見ているから、「早寝しないと、松浦さんの本じゃないけど、認知症になりやすいらしいよ」と言って脅かして早く寝かせたり、日常会話でここまで言っちゃいけないかもしれないというところをあえて話し合いというか、突っ込んで会話をしています。もしかしたら、人から見たらけんかしているように見えるかもしれない(笑)。

率直ですね。

杉田:2人で、年の取り方というか、これから死んでいくんだよねということを自覚しようと。

松浦:なるほど。

杉田:ですので、毎朝「おはよう」じゃなくて、「生きてる?」と言って声を掛けるんですよ。

おお!

杉田:そうすると、「うん、まだ生きてる」みたいな感じで母が返す、みたいな(笑)。