“正しい”用語を知っていれば、「地域包括支援センターって、なあに?」というページにたどり着き、

「地域包括支援センターは、高齢者の皆さんの生活を支援するため、N市が介護予防や相談窓口などの仕事を委託した事業所です!
 地域包括支援センターからは、要介護状態等になる恐れのある方を対象にお電話やお手紙をさせていただいておりますが、職員が金銭などを要求することはございませんので、介護に関する悩みや不安について、お気軽にご相談ください。
 なお、地域包括支援センターの詳細や実施業務、また、所在地などについては、下記をご覧ください。」

 という説明を読んで、なるほど、じゃあ、まだ介護すべきかどうか分からない段階でも、ここに相談していいんだな! となるわけですが、何も予備知識なしで、「介護の相談を具体的にするには」と考えた際に「地域包括支援」という名称でピンと来る人って、あまりいないんじゃないでしょうか。スマホしかしらない世代に「右クリックしてプロパティ」とか言っても、分かりませんよねえ…。

 もちろん、全ての人が一発で理解できるようなネーミングは至難ですし、ある程度は使う側が学ばないと提供側も困ってしまいます。せめて、馴染む機会を増やすよう、努力するしかないのだとは思います。

 なお、地域包括支援センターのページには、「介護予防のための基本チェックリスト」(運動や口腔、栄養、物忘れなど全25項目の質問)が用意されていました。これは、親と日常生活を共にしていない私みたいな人には、手がかりとして使えるように思います。同じものが多くの自治体のページに用意されているので、上記で検索して、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

 さて、N市のホームページから、無事「地域包括支援センター一覧」は引っ張り出せ、担当するセンターも分かったのですが、なぜか、営業日や営業時間の表記がありません。お邪魔するのに、予約がいるのかどうかも分かりません。

 介護現場は猛烈に忙しい、と聞いているし、そんな現場に、まだ介護が必要ではない状態で、アポなしで押しかけるというのはどうか、と、ここで躊躇いが生まれました。

あれ? 電話に誰も出ない

 そこで、先に電話してみたのですが、4回ほど掛けてもどなたも出ませんでした。

 うーむ。
 そこで、ページの一番下に、作成担当として連絡先が載っていた市役所の「福祉部 地域包括ケア推進課」に、電話してみました。

 「母は、まだ介護が必要な状態ではないのですが、80歳と高齢で心配になっていまして、こういうご相談で地域包括支援センターに伺ってもいいんでしょうか」
 「はい、大丈夫ですよ!」
 「電話にどなたも出ないし、営業時間も書いていないのですが、いきなり行ってもいいのでしょうか」
 「ええ、かまいません。遠慮無くお訪ねください」

 と、やけにはっきりお返事をいただき、もう一度電話してもやはり出ないので、これは行ってみるしかない、と、荷支度を済ませて実家を出ました。母が寂しそうにエレベーターまで付いてきます。外は土砂降りだから、ここでいいからね、と念を押してお別れ。傘を差してバス停へ。背中のリュックがあっという間に雨に濡れていきます。

 バスで15分ほどでしょうか。エリア担当の地域包括支援センターは、国道沿いの福祉施設の中にありました。昼前でしーんとした建物の受付の方に来意を告げると、内線で担当の方を呼び出してくれ、ソファーで待っていると、にこやかなメガネの女性が現れました。仮にAさんとしましょう。

 「これは、お忙しい中ご相談ごとですみません」
 「いえいえ、どうぞご遠慮なく。個室がありますのでそちらで」

 名刺をいただいて、母の状況を率直に打ち明けました。80歳の独り暮らしで、基本的には元気に見えるのだが、老いを感じることが多い。家の中が散らかり気味で、前向きな気持ちを失いかけている気がする。最近太ってきたせいなのか、足を引きずっている。特に最後のが気がかりだ、云々。