母と四方山話をしながら、帰り支度を整えつつ、私は松浦さんの言葉を思い出していました。

 本当はリンクから全文をお読みいただくのがいいと思いますが、早い時点で相談しておくことの意味を、松浦さんの文章から抜粋しておきます。

 もっと早く、アルツハイマー病の病状が決定的に進行する前に、公的介護保険を導入していれば、早期に母は安定した精神状態になることができた、と、今思うのである。

 「ひょっとして認知症ではないか」と思った場合も、まずは地域包括支援センターに相談するのが得策だ。というのは、地域包括支援センターには、近辺のどの病院にどんな医師がいて、どんな活動をしているかという情報もあるからだ。

 私は、自分でどの病院に連れて行くかを調べ、総合病院を選び、診察が数カ月単位で遅れた。結果的にこれは失敗であったと判定せざるを得ない。なるべく近所の信頼できる病院を、地域包括支援センターに紹介してもらい、すばやく診断を受ける。これが正解だった。

 地域包括支援センターを使えば、診断と並行して、介護認定の申請を行うこともできる。前回書いた通り、申請から介護認定の結果が出るまでには1カ月程度かかる。とにかく早手回しに動いたほうがいい。

 しつこいが、早期の公的介護保険の利用開始は大変重要だ。先ほど述べた、介護される側が慣れることもあるが、介護する側のストレスが軽減されること、これがまた大きい。そして、介護する側にかかるストレスが軽減されることで、介護される側のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)は大きく改善されるのだ。

やっぱり予め知っている意味は大きい

 出発前に、N市の介護関連のサイトをざっと見てみると、情報は充実しているけれど、馴染みのない言葉が続出して分かりにくい。ネーミングはN市の責任ではないと思いますが、施設やサービス名にお役所風のクセがあって、「何でもできそう」に思えて、逆に何を目的としているのかが掴みにくいように思えました。

 たとえば、「地域包括支援センター」とよく似た名前で「介護支援センター」という施設もあります。同じページ内に両方が記されているのですが、後者は名前にずばり「介護」とあるだけに、「あれ、まだ介護は始まっていないけれど、相談したいのは介護だ。どちらに聞くべきなのかな」と迷ってしまいそうです。

 もちろん、どちらに電話を掛けても、あるいは市役所の代表番号に掛けても、事情を話せば正しい窓口にたどり着くのでしょう。でも、最初から「地域包括支援センター」という、正しい言葉を知っていれば、気が進みにくい電話を掛ける心の壁がぐっと低くなるのではないでしょうか。

(これって、ちょっとパソコンの用語にも似ていますね。マニュアルを読んですっと理解できるには、まず、専門用語、業界用語を正しく知っている必要がある。まず、言葉の意味を知らないと、マニュアルを読んでも最初は混乱するばかりです)