ん? 意識が松浦さんの連載にジャンプします(その名は「通販」。認知症介護の予想外の敵)。

 「母さん、これは?」
 「ああ、薬よ。膝痛の」
 「膝が痛いんだ」
 「うん、ときどき」
 「何箱かあるみたいだけど…」
 「切れた頃に送ってくるの」
 (心の声「出た! 定期契約だ!」)

 箱を空けると案の定、ずいぶん余ってます。そこそこ高いのに、注文しただけでたいして服用していないのは明らか。

 ここで「何をムダなことを」とか声を荒げてはいかんことは分かっています。やさしく聞き出すと、他にも青汁を注文しているらしい。そちらは気に入っているとのことで、飲んだ様子のない膝痛薬のほうは「届いている分を飲んで、効き目があると思ったらまた注文すれば」と言い聞かせ、その場で電話して契約を打ち切りました。

 母はわたしといてもテレビを付けっぱなしにしている(話がしにくいので断って消しますが)くらいの依存ぶりで、そのテレビが流しているのは、ちらっと見ても、大半が老人向けの商品です。市場経済の必然とはいえ、これではひとつやふたつ注文する気になってもとても責められない、とは思います。

 通販の定期契約をしていることは、認知症とはもちろん直結しません。今回は、無駄遣いを抑えられたこと、そして、膝痛に気づけたところがポイントです。脚の衰えは老人にとって大問題ですから、幸運といっていいでしょう。そして箱に気づけたのは「老人→通販に注意」という認識が、松浦さんの記事を読んで脳内にできていたおかげでした。「見るポイントが分かっていた」効果だと思います。

おっと、歩き方が明らかにおかしいぞ

 私は松浦さんと違って家事能力がほとんどないので、帰省したときは決まって「へぎそば」を食べに行きます。バスで近くまで行って、小路をちょっとだけ歩くのですが、雨ということもあって足下が悪く、母はいつにもましてスローペース。その母を通行人からかばうように歩いていると、右足をひきずっていることに気づきます。

 むむむ…。これもなんだか連載第1回(こちら→「「事実を認めない」から始まった私の介護敗戦」)の最後の箇所を思わせます。

 冷え冷えのへぎそば(については、こちら)と、熱々の天ぷらは母の大好物。お気に入りの店のテーブルに座って、2~3人前を注文すると、ほとんど私と変わらない勢いで食べてしまいます。うん、食欲は旺盛。ていうか、母さん、ちょっと太ってない? そのせいなのか、顔が明るくつやっつやです。

 帰宅後、もういちど部屋を見回すと、さらに散らかった隅っこに、白地に黒の縁取りの高そうな紙袋がいくつもまとめて置いてあるのに気づきました。

 んんっ? もしやまだ通販商品が?