家庭内分業はトラブルに非常に脆弱だ

松浦:サラリーマンモデルというか、戦後の日本には家庭内セクショナリズムみたいなものがあって、女性からしても何か都合がよかったところがあるのかもしれません。

スー:そうでしょうね。

松浦:たとえば、「台所は自分のテリトリー」と。そういう区別がはっきりしたから安定したということは言えるかもしれない。でも……。

スー:役割分担自体は、双方が納得していればいいと思います。でも、非常時にどう対応するか。手が足りなくなってやり方の分からないラインについたら、工場の作業工程がすべて崩れてしまった、というようなことになりかねない。そう考えると、スペシャリストというよりゼネラリストの方が、もしかしたら家族はうまく回る。

松浦:分業って楽なんですよ。

スー:あ、そうなんですよね。役割分担すると。

松浦:本当は、分業ができるのはもっと大きなシステム、例えば会社ぐらいの人数がいるとかなり成り立つんですけど、家庭内で分業を成立させるのは、継続性を考えると実はかなり難しい事業なんじゃないか。2人とか3人。多くても5人、6人、せいぜいそのレベルですから、そこで何かの理由で1人欠ければ、家庭内分業は破綻するんですよね。

スー:しかも家族の数はどんどん減ってきているわけですから。

松浦:ということは、通常から家庭分業で回していくのは、介護のような有事を考えるとあんまり賢くないのかもしれない。でも会社というか、社会というかが家庭内分業を前提に回っているから、みんな分業で対応せざるを得ない。本当は、介護が始まる前から家庭内分業の是非をきちんと考えて対応を考えておくべきなんでしょう。介護は突然始まって、始まってしまえば最中はもう必死ですからね。