スー:と、独身で親の面倒を見るのは大変だと思われがちですが、意外と“おいしい”ところもある。どんな状況にもいいところと悪いところがあるので、ご家族がいる方が不利というわけでは、ありませんが。同時に、独身者であることとか、片方の親しか残ってないことが損ばかりでもないな、と思います。

松浦:ただ、煮詰まるんですよね。

スー:ああ、それはそうですね。

松浦:特にうちの母は認知症が急速に進行したものですから、家の中でずっと向き合っていると、精神的に引っ張られるんですよ。ここら辺(と、頭の後ろに手をやる)からちゅーっと自分の生気を吸い取られるような感覚のところがあって。

スー:そうでいらっしゃったんですね。

松浦:そのときに「外側」があると……この場合例えば家族ですね、それがあったらおそらくもうちょっと耐えられたんじゃないかなと思います。もしも、社会的支援の受け方を知らないままだったなら、そのまま1人で穴に落ち込んでいた可能性もあるわけですし。

 例えば、衰える母がいる一方で、育つ子供がいれば、気持ちの上では抵抗力につながるのかもしれない。しかもうちは、母に引っ張られたのみならず、実は母が飼った犬もいまして、この犬が実は今ちょうどもうそろそろおだぶつ状態。

スー:ワンちゃんの介護もしていらっしゃるんですね。

松浦:はい、またしても自宅介護状態なんです、今(笑)。

腹をくくられた様子が文字から見えました

スー:『母さん、ごめん。』を読んでいると、前半では松浦さんが日々の生活にとてもストレスを感じていらっしゃるのが手に取るようにわかるんですけど、後半どんどん、ちょっとギャグめいてくるというか、何かのタイミングで状況に腹をくくられたんだな、というのが分かって、そこからどんどん楽しく読めるようになってきました。

 大変なのは重々……重々承知とは、認知症の親を介護したことのない私には言えませんが、ただ何かあるタイミングから、「これも人生」と達観するフェーズに移行されたんだなと分かって。読んでいてほっとしました。光が差していました。介護というしんどい日々にも、やり続けていればたぶん大気圏を抜けるタイミングというのがあるんだなと。

松浦:ああ、そう思われましたか。実はあまりそういう意識はなかったんですが。

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