できなかったことで他人を責める母の声が辛い

 「本当に、なんでちゃんと案内しないのかしら。こっちは知らないことばかりなんだから、もっと丁寧に説明してくれればよかったのに!」。再申請がうまくいかなかったらしいことを、「自分のせいじゃない、自分は悪くない」とばかりに、市役所の担当者の悪口を言い出す母。うわぁ……これは聞いていてものすごく辛い。

 「母さん、めんどうそうな手続きだし、うまくいかなくても仕方ない。他人の悪口を言う母さんを聞いているとすっごく悲しいし、俺も怒ったりしないからさ、『わからない』『覚えていない』『聞いていない』でいいから、素直に教えて」

 しばらく無言のあと「ごめんね、そうする」と、母の声。

 なんとなく電話口で向こうの気持ちが緩んだような気がする。そうだといいのだけれど。

 さてどうしたものか。包括の方に電話をして、母の行ったらしい先を言うと「あ、介護保険じゃなくて医療保険の窓口に行ってしまったんですね」。ああ、そうか! で、第三者の方がきちんと話を聞くかな、と考えて、包括の方のほうから、一度引き合わせて顔も知っている(はずの)母に電話してもらうことにしました。

 で、「X階の総合窓口で『介護の保険証を再発行したい』と伝えてください。緑色のハガキサイズの保険証です、と伝えました。メモを取られていた様子がうかがえましたので大丈夫かなあと思います。もしまた難しいようであればお知らせください。」とお返事をメールでもらう。お手数でした。やれやれ……。

 またまた翌日。

 朝、母から電話。どこに行けばいいのか、どうすればいいのかわからない様子。メモを取ったのでは、と聞いてみたら、取っていないとのこと。あああ、やれやれ。昨日の包括の方からのメールを見ながら、段取りを教え、休み明けの月曜日に行くように頼む。「わからなくなったら、窓口から私に電話して。ただし月曜日は朝から仕事だから、午後に行ってね」と伝え、これも書き取ってもらう。

 この日は休日でしたが、下の娘のバスケの試合への送迎2往復、息子も用事があり、スケジュールがタイト。溜まった仕事も気になります。

 夜、ようやく「再交付に必要な書類や、発行されるまでの日取りを自分で調べていない」と気付き、市役所のサイトを見てみると「マイナンバー(カードもしくは通知書)」があることが前提になっていました。

 しまった。マイナンバー通知書もきっとなくしているぞ。母に電話したら、予想通り「わからない…」。そうなるとマイナンバー再申請、介護保険証再申請、そこから介護申請か、と、道のりの果てしなさに呆然。しかも、明日はN市はまた大雪らしい。

 「わかった。マイナンバーが出てきてから市役所に行った方がよさそうだから、今日はもう寝て、ダメモトで明日よく探してみて」と伝える。できなかった仕事を片付けに深夜営業のマクドナルドへ。自分もだんだん調子が悪くなってきて、以前、帯状疱疹ができてぶっ倒れたときと同じ位置が熱っぽく、疼痛があるのが気にかかりはじめました……。

あれ? なんで認定調査の人が来るんだ?

 さて月曜日(すみません、鬱展開で)。

 早めに目が覚めてしまい、寝直そうとしたら母から電話。思わず不機嫌に出ると「今日は大雪なんだけど市役所に行った方がいいかしら」「だから昨日、マイナンバーが出てくるまでは行かなくてもいいって言ったでしょう……?」と声を荒げないよう苦労して言うと、なんと、マイナンバー通知書が出てきたらしい。びっくり。枕元の書類の束の中にあったという。平成27年からずっとそこにあったのだろうなあ。これで介護保険証も出てくればいいのだが、あれは15年前だから絶望的か。とはいえ、うまくいかない続きだったので、ふっと気持ちが軽くなりました。

 念のためにこちらでもマイナンバーの番号を控え、「必要な書類を再確認してまた電話するから、今日は行かなくていいよ」と伝える。今週末にN市に帰って、あれこれ一気に片付けようと思っていたけれど、自分の体調を考えるとムリしないほうがよさそうです。ギアを落とす方向にシフトしよう、と考えを変えました。

 水曜日。母から電話。「窓口に行ったとき、『こちらの人間が伺います』と言われたんだけど、その人から電話がきた」という。相手の名前と連絡先を調べ、電話してみると「介護保険認定調査センター」で、「市役所から指示があって伺うことになっている」とのこと。失礼ですが、と、市役所の当該部署と連絡先を聞くと、健康福祉課高齢介護係。詐欺とかじゃなさそうですね。で、高齢介護係にも連絡したら、仰天ものの回答が。

 「基本的には、介護保険の申請がない限り調査員は行かせません。なので、お母様ご自身が再申請されたのだと思いますよ。お名前と生年月日を頂ければこの場で調べてみます」

 で、調べてもらった結果、なんと母は、正しい窓口を訪れて、介護保険証の再申請をしたうえに、ご丁寧にも自分で介護保険の申請までやっているという!? は、はあ?

 「ご本人が来て、必要な身分証(※)も出して、被保険者資格者証をもらっていらっしゃいます。再発行した被保険証はあとで直接ご送付することになります」と言われて、ひえー。思ってもみないどんでん返しだ。母は「何もできなかった」といいながら、必要なことは全部やっていたんじゃないか。ここ数日の私の焦燥は、全部ムダ?!

※ 必要な書類について、後日N市の市役所に電話で確認してみました。再申請の場合、マイナンバーはなくてもOKで、「あればお持ちいただければ助かります」とのこと。N市の場合、必要なのは写真入りの身分証1点か、写真がない公的書類(名前、住所、生年月日入り)2点。母の場合は、年金手帳と健康保険証だったようです。代理人が申請する場合は、以上に加えて代理人が自分自身の写真入り身分証を持っていくことになります(自治体によって違いがあるかもしれません。ご自身でご確認をお願いします)。