メマンチン塩酸塩は脳内のグルタミン酸の影響を下げる薬効を持つ。アルツハイマー病は中程度以上に進行した場合、脳内のグルタミン酸濃度が上昇する。グルタミン酸は興奮を引き起こす神経伝達物質だ。つまり脳内のグルタミン酸濃度が上がると神経細胞が無用に興奮してしまうのだ。興奮した神経細胞内では余計な電気信号が発生し、本来の人間の精神活動の電気信号を妨害してしまう。

 メマンチン塩酸塩は神経細胞にグルタミン酸が作用するのを妨害する。すると神経細胞が異常に興奮しなくなって正常に機能するので、記憶障害が軽減するわけである。同時に怒りっぽくなる、徘徊するといった症状も軽減されることが分かっている。

 患者からみたメマリーの大きな特徴は、アリセプトと同時服用が可能ということだ。アリセプトの薬効成分のドネペジル塩酸塩は、脳内の神経伝達物質のアセチルコリンの分解を遅らせて、脳内のアセチルコリンの量を増加させる。アルツハイマー病では、脳内のアセチルコリンの量が減少する傾向があるので、分解を遅らせることで量を維持するわけだ。

 対してメマンチン塩酸塩は、多すぎるグルタミン酸の作用を抑制する。作用する機序も相手の神経伝達物質の種類も違うので、同時に服用できるのである。中程度以上に進行したアルツハイマー病では、アリセプトとメマリーの同時服用が、ひとつの投薬パターンとなっているようだ。

 脳に作用する薬2種類の同時服用と言うことで、副作用が出ないかどうかが心配だったのだが、母の場合に限って言えば、メマリーは効いた。服用が始まるとすぐに、怒りっぽくなっていたのが改善されたのである。心配した副作用も出なかった。

大きな虫歯が見つかり、歯を抜く

 2016年2月に、要介護3の認定を受けて、公的介護保険の1カ月に使える点数が増えた。さあこれで利用サービスをすぐに増やすことができる、かといえばそうではなかった。

 老人介護関連はどこも慢性的に人手不足、施設の容量不足なのだ。すぐに考えたのは、月曜日と水曜日に通っている全日デイサービスをもう1日増やすことはできないかということだったのだが、通っている施設は定員一杯で、すぐにサービス開始とはいかなかった。

 2月と3月は、家の改装に伴うショートステイ、つまり外泊があったので、ほどよく点数を使うことができた。もっとも、母がショートステイに行くと、その間デイサービスはお休みになるので、公的介護保険の点数をそんなに消費するというわけではない。また、全点数を律儀に使い切らねばならないということもない。

 結局、デイサービスの施設の定員に空きができたのは4月に入ってからだった。火曜日の定員に空きがでたので、母は月曜日から水曜日まで週3日、全日デイサービスに通うことになった。