手間を減らすために市販の調味料は、よく使った。回鍋肉やエビチリに麻婆豆腐などだ。照り焼きやバターソテーのような焼き魚は簡単なのでよく作った。サンマの季節になると週に数回はサンマを焼いて出した。野菜を食べるという意味では、野菜と鶏肉のポトフをよく作った。

 後片付けが面倒だったので、揚げ物はせず、食べたくなったら出来合のものを買ってくるようにした。最寄りの駅ビルに入っているとんかつ屋のひれかつと、大型ショッピングモールのジャンボチキンカツには随分助けられた。

 ――と、このように自分なりに随分と頑張ってみたわけだが、これが栄養学的にどこまで正しいかは、自分では判断できない。ところが、こんなことを数カ月続けたら、色々なストレスも重なって、私は2015年の4月にはすっかり参ってしまった。

宅配サービスのお味は?

 公的介護保険制度の導入に向けて地域包括支援センターに相談するようになって、様々な老人向け食事宅配サービスが存在することを知った。どこも老人向けの「健康な食事」をうたい文句にしている。一食のおかずセットが消費税別で600円ほど。御飯もつくと若干高くなる。

 これは使わない手はない。
 だが、味にうるさい母が受け入れてくれるかどうかが心配だ。

 そこで、自宅が配送地域に入っているすべての業者をリストアップし、それぞれ2日ずつ昼、夜との2食を母と一緒に試食してみた。

 結論は……全敗である。まったく駄目だった。

 宅配サービスを、母は「こんなもの、私食べられない」といって全く受け入れなかった。事業者によっていくらかは違いがあるかと思った味も、どこも似たようなものだった。自分なりの印象を素直に書けば、市役所とか図書館とかの公営施設に附属する食堂のような味がする。

 なぜ、どこも同じような味なのか推測してみる。

 一食600円ということは、食材の原価は200円以下だろう。これにセントラルキッチンでの調理コストや宅配コストを乗せて、なおかつ利益を出そうとするとかなり厳しいビジネスだ。

 どこで原価を下げるかといえば、おそらく調味料だ。塩、醤油、味噌、ソース、酢、味醂、料理酒などでコストを下げて、ビジネスを成立させているのではないだろうか。