ネットを見回すと「1日350gなんて無理だ」という書き込みが散見される。本当に無理なのかどうか、自分で野菜を計量して考えてみる。といっても野菜は工業製品ではないので大きい小さいがある。ごく大ざっぱに50g単位で重さを把握してみた。

 ごく普通のトマトはひとつ100g前後、レタスは葉が2枚で40~50gぐらい、ピーマンは1個でまあ50gぐらい、ニンジンは1本100~200g、ほうれん草は一束で200gぐらい、タマネギは100~300g――。

 次に、朝食を組み立てた。というのは、亡父が「朝食は1日の元気の源だ。がっちり食べろ」という人だったので、母は長年かなりしっかりした朝食を作り、自分も食べてきたからである。同時に朝食で、きっちり野菜を食べることができれば、昼と夜はあまり神経質にならなくても350gという目標を達成しやすくなる。なにより朝食はメニュー固定でもあまり文句がでない。

 トマト半分で50g、レタス1枚で20gぐらい、これをサラダにする。時には薄くスライスして水に晒したタマネギや茹でたブロッコリーを載せる。これだけでも野菜は100g前後になる。さらに刻んだピーマンひとつと同じく刻んだベーコンを炒めて卵を落として目玉焼きにする。これで50g追加だ。これだけで野菜150gを食べる計算になる。これにハムかソーセージ、そしてナチュラルチーズをひとかけらつける。トーストは1枚の半分で、バターとチーズを絶対乗せる。紅茶はきちんと牛乳をいれたミルクティ。そして、季節の果物、ないしはヨーグルトをつける。

水分を重視、昼は簡単に、タンパク質を忘れず

 以上を基本に、少しずつバリエーションを作って飽きが来ないようにしていく。たとえば目玉焼きは、ニラを閉じたオムレツにしたり、ジャガイモ、タマネギ、ベーコンを炒めたジャーマンポテトを綴じたり、あるいはゆで卵にしたりする。

 脱水症状を起こしやすい老人にとって、十分な水分補給も重要だ。母は元気な頃からなにかとお茶を飲む習慣があったので、朝と晩に大きめのポットに烏龍茶を作り置きして、いつでも飲めるようにした。昼間だけでなく、夜間にトイレで起きてきた時も飲んでいたようである。

 昼食はなるべく簡単にする。茶碗一杯の御飯に、アジの干物を焼いて大根おろしを載せ、鰹節を載せたほうれん草のおひたしに、納豆1パック、というように。焼きそばもよくやった。麺とほぼ同量のキャベツや細かく刻んだニンジンなどを加えると、かなりの野菜を食べることができる。うどんや蕎麦の場合は必ず、ほうれん草のおひたしを付けるようにした。

 夜は、必ず肉か魚を一品付けた。タンパク質不足にならないためだ。油は比較的無難であろうと判断したオリーブ油とゴマ油に限定した。そもそも多種類の油を台所に揃えても、自分ではうまく使いこなすことができない。

 一方、食事に含まれる脂肪分を減らすことは、特に考えなかった。

 脂肪を減らすのは、血管内へのコレステロールの付着を防ぐためだが、もう母は80歳を過ぎている。コレステロールを心配するより、人間が本能的においしく感じる脂肪分で食事を楽しんだほうがいいだろうと判断したからである(もちろん私の調理の下手さを隠すという意味もあった)。