リソースはむしろ介護者に回せ

 やっかいな病気に取りつかれた時、多くの人は代替医療に対して「効果があるかないか、やってみなければ分からない」という気持ちで手を出すのだと思う。

 しかし、代替医療は代替医療であるというその時点で、基礎から臨床に至る様々な試験に基づいて効果が実証された標準的な医療手段に比べて効果は確実に薄いのだ。しかもその中には、まったく効果がないインチキも紛れ込んでいる。

 「やってみなければ分からない」ではないのだ。「やってみたところで、最良でもコストパフォーマンスは悪い。多くは意味なし」なのだ。それどころか、一部のサプリメントでは健康被害も報告されている。「最悪、害あり」なのである。

 だから代替医療に手を出すぐらいならば、そのためのリソースはより確実かつ現実的な手段に使ったほうがいい。そのことは、介護の矢面に立った者が一番良く知っている。

 では、認知症にかかった人へのお見舞いとしては何がいいのか。

 認知症にかかった人に、なにかできると考えないほうがいい。現状では正常圧水頭症を除けば、認知症は根治することができない病気だ。しかも症状は時間と共に悪化し続ける。冷酷なようだが、友人知人などが病気に対してできることはなにもない。

 むしろ認知症の人を介護する人に対してなにか支援をできるか、と考えてもらいたい。

「同情するなら金をくれ」

 断言しよう。最良のお見舞いは「お金」である。

 現金を送ることに抵抗を感じるならば商品券でもいい。最近ならばネット通販のギフト券が、「なんでも買える」という点で適当かも知れない。

 介護生活に突入すると、どうしても収入に影響が出る。その一方で施設の利用や介護用品の購入で支出はどんどん増える。しかもそのような状況はいつまで続くか分からない。収入は減り、支出は増えていつまで続くかも分からない状況において、一番もらってありがたいのは、お金だ。
  古のテレビドラマ「家なき子」で、安達祐実演じるすずが言う決め文句「同情するなら金をくれ」は、介護においては身も蓋もない真実である。

 健康食品だって、介護する人が必要と考えれば、自分で購入するだろう。その場合もお金が必要になる。「これがいいから」と勝手に判断してモノを送るのではなく、「あなたの判断力を信用し、あなたの介護を支援します」という気持ちを込めて購買力を贈るべきなのである。

 というか、そうしてほしかった……

■変更履歴
記事掲載当初、本文中で「薬事法」としていましたが、正しくは「薬機法」です。「血管性認知症」は「正常圧水頭症」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです [2017/05/22 18:30]

この記事はシリーズ「介護生活敗戦記」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。