「要支援」と「要介護」は、「日常的な動作が自分ひとりで行うことができるかどうか」で分かれる。ごくかいつまんで説明すると「日常動作ができるが、要介護状態への進行を予防するために、周囲の助けが必要」というのが「要支援1」、「日常動作ができるが、ちゃんとやるには助けが必要」というのが「要支援2」だ。ここまでは割と普通に生活可能なお年寄り、と考えてもいいだろう。

 「要介護」となると、日常的な生活には他者の助けが必要な状態となる。「排泄や入浴をちょっとばかり助ける必要がある」が「要介護1」、「歩行や起き上がりも助けが必要」というのが「要介護2」、「排泄や入浴、衣服の着脱などにもほぼ全面的な介護が必要」というのが「要介護3」、「日常動作のすべてに介護が必要」が「要介護4」、「意思伝達も困難」つまりはほぼ寝たきり状態が「要介護5」という区分になっている。

 介護認定が出ると、トイレや風呂への介助器具や、介護用ベッドの購入・レンタル、住宅への手すりの取り付けなどに、かなりの補助金が出るようになる。更に認定の度合いによって、デイサービス、ショートステイ、特別養護老人ホームやグループホームなどの様々な施設が利用可能となる。これらの施設については追って説明していこう。

 「要支援1」から「要介護5」へと状態が悪くなるほどに、使える公的なサービスは増える。これは点数制で、個々のサービスには点数が決まっている。介護の段階により毎月ごとに使える点数が与えられ、点数内でサービスを組み立てていくことになる。当然、「要支援1」から「要介護5」へと状態が悪くなるほど、使える点数が増える。

 サービスには介護保険から公的資金が投入されており、安価に利用できる。ただし、介護の度合が重くなると、同じサービスを受けるための対価は高くなる。「同じサービスでも、症状が重くなると介護する側の負担は増える」という考えに基づく制度設計なのだ。

 ただし、この制度がずっと続いて、自分が年老いた時も同じ制度で公的介護を受けられるとは思わないほうがいい。2015年に厚生労働省は介護保険制度の大規模な制度改正を行った。改正内容は多岐に渡り、かつ複雑なのだが、大まかな方向性は「支出を抑え、収入相応の負担を受益者に求め、施設入所を抑止して、家庭での介護を優先」というものだ。例えば、特別養護老人ホームの入所については、それまで「要介護1」以上で入所可能だったものが、「要介護3」以上でないと入所できなくなった。

 老人人口が増える一方で、生産人口は減っていくので、厚労省もなんとか制度を破綻させずに維持するのに苦労している、ということだ。

嘘は論外だが、困っていることは隠さず強調すべき

 介護認定は、残念ながらお役所仕事で結果がでるまでほぼ1か月かかる。調査員の聞き取りに基づいて、「この人はどの段階か」を判断する判定会議が、1か月おきであるためだ。ただし、母の場合は地域包括支援センターが、柔軟に対応してくれた。

 「お母様のこの状態ならば、要支援2か要介護1で介護認定が出ることは間違いありませんから、先行してサービスの利用を始めましょう」と、家への手すりの整備や、健康を維持するためのリハビリサービスの利用などをすすめてくれた。

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