中に入っていたのは白髪染めと支払伝票だった。母は2カ月に1回程度美容院に通って白髪を染めていたが、なんだ自分でも白髪染めを買って間で染めていたのか……と、そこで気が付いた。この白髪染め、見た記憶がある。

 洗面台の引き出しを引っぱりだす。すると中には同じ白髪染めが未開封のままごっそりと入っていた。いや、まて、これだけじゃないはずだと、探すと、クローゼットや化粧品入れから次々に同じ白髪染め、それも未開封のものが一山見つかった。

 これはいったいどうしたことだ。なぜこんなに使いもしない白髪染めが転がっているのか。

 あわてて、同封されていた納品書を頼りに、白髪染めを送ってきた通販事業者に電話を入れた。すると、母は「毎月定期的に届く」という契約で白髪染めを購入していたことが分かった。ちょっと待て。なんでまた白髪染めなんかを毎月定期の契約で買い続けているのか。そんな頻度で使うはずがないじゃないか。

 確か通販は1週間以内だったらば返品できるはず、と電話の向こうのオペレーターさんに「返品します」と申し入れる。

 「その場合はお客様都合の返品となりますので、申し訳ありませんが送料はお客様のご負担になります」
 「かまいません。それから、継続契約も解約します。いっぱい余ってますので」

その都度切ればいい、と思っていたが

 ぱっぱと片付けよう。送ってきた箱にそのままテープで封をして商品を送り返し、「やれやれ、送料はかかったものの、これでひとつ無駄遣いを潰したぞ」と思った……のは大間違いで、これは始まりだった。

 母が通販の継続契約で買っていたのは、白髪染めだけではなかったのである。

 関節痛に効くとかいう健康食品に目に良いとか言うサプリメント、アミノ酸たっぷりと宣伝する酢、滋養強壮抜群を売りにした鰻のカプセル錠、お肌の健康がどうのこうのの乳液に健康のためにどうたらこうたらのプロテイン粉末――。