会社員としての優秀さと、介護リテラシーは無関係

川内:まあ、ちょっと面白く説明してしまいましたね(笑)。でも、決して無理にあおっているつもりもないんです。その方が現実として早めに準備をされていた方が当然いいし、そして、決裁権を持ちながら、介護についてはうっかり無責任な発言をしてしまう方が、自分事として考えるようになってくださることが、その会社全体に絶対にプラスになる。そう考えて、あえてやることもあるんです。

松浦:すごく重要なことだと思います。長い時間を掛けて戦力化した社員が、次から次へと介護で離職されたら、企業はもちろん、経済だって止まりかねないですよ。

川内:大きな、歴史もある会社さんだと、どうしても40代、50代の方が社員のボリュームゾーンだったりしますよね。そうすると、高齢化が進むにつれて、優秀な人材がどんどん抜けていく悪夢は、経営者なら見えなきゃいけないと思います。

Y:川内さんが、介護への認識の壁を越えさせてくれるといいですね。

川内:そのお手伝いをしたいです。ある会社さんでは、毎月定期的に介護の個別相談会をやっているんですね。結構大きい会社さんなんですけど。最初のころは「誰か相談に来るのかな」と思っていましたが、もう今はキャンセル待ちで大変です。壁を越えてみると、必要な人がこんなにもいるんだということに、驚いているくらいで。

 なかでも一番驚いたのは、こんなに優秀なビジネスマン、ビジネスウーマンの方々がここまで介護のリテラシーが低いのか、と。一人ひとりのお話を聞くと、「もう今すぐ、何とかしなきゃだめだ。そうしないと、この方、もう辞めるかどうかの瀬戸際だ」という状態にまで追い込まれている。仕事でこんなに優秀で、もちろん収入も十二分にある人たちでさえ、こうなんだと。

(つづきます)