松浦:僕がパソコン通信サービスの「NIFTY-Serve」に入ったのは1989年の1月です。「NIFTY-Serve」のサービスインは1987年4月だから、それから2年ほどで入っている。

Y:インターネットじゃないんですよね。パソコン通信。もう若い方には分からない。要するにテキストベースの掲示板しかない世界。全部2ちゃんねる、みたいな。

松浦:2ちゃんねるほどのカオスではなくて、ちゃんとフォーラムごとにシスオペがいて、モデレーター役をやっていましたよ。それでも色々な人間関係のトラブルがあったけれど。

Y:シスオペ! SYSOPですね、懐かしい……。

松浦:初期からネットの人間関係のトラブルってけっこう見てきたんです。間違いや行き違いは必ず発生する。そういうときは、情報をオープンにしてさっさと納めた方がいいというのを学びました。

「うちの近くに介護のクルマを停めるな」

川内:それは想像していなかったです。すごい。これは重要なポイントです。NHKの方との対談でも言っておられましたが(「『介護殺人』の本と番組に寄せられた意外な反応」)、介護の話は、やっぱりオープンにしづらい、できない。

 訪問入浴やデイサービスをしていると、お家の方から「福祉××サービス」とか書いてあるクルマを、玄関前に停めるな、ご近所の手前がある」と言われることは、それはもうよくあります。

松浦:うちに要介護者がいるのが分かるじゃないかと。

川内:ええ。「じゃあ、僕たちはそういう存在なんですか」と、逆にこっちも怒りたくなるわけですけど、でもそれはご家族のお気持ちだから「そうですか、すみませんでした」と、離れた駐車場に停めて伺うこともあります。

 でも、松浦さんにはネットでのご経験があるとはいえ、やっぱりそういうお気持ちをご家族の間でオープンにできるというところは、介護者にとってすごく大きなアドバンテージだったと思いますよ。凄いです。妹さんは、お母様を叩いてしまったと打ち明けた松浦さんに、その時何と返してくださったんでしたっけ。

母を叩いた自分を責めなかった妹の強さ

松浦:「それは分かった」とだけ。……考えてみると、そこのところで僕を責めなかったのがやっぱり彼女の強さというか、懐の広さですよね。

川内:そこなんですよ。普通……というのも安易な言葉ですが、たいていの場合、こういうことがあればごきょうだい間でのトラブルになります。「大変なのは分かるけれど、それにしたって兄ちゃん、どうしてそんなことしちゃったの」と。

 やはり衝撃的な話のはずですから、「分かった」で済ませて、事情をケアマネさんに伝えた、と言えたというのは、本当にすごい。何と強いというか、愛情深いというか。

Y:変な言い方ですけど、松浦さんの妹さんには「こんな人が上司だったらいいのに」という印象を受けます。「ミスはわかった。対策を考えよう」みたいな感じ。

川内:そうそう、そうですね。