擬似乱数発生ではよくあるミス

 ただ、「このような不具合は擬似乱数発生法の世界ではよくある話」(専門家)だという。2008年、ネット通信システムのセキュリティーに関する擬似乱数で、パターンが3万2768通りしか出現しない不具合が発覚。暗号が簡単に破られてしまう状態が続いていたが、運営会社が修正し、混乱は収束した。

 「設計上の問題である可能性が極めて高い以上、運営側は問題を解明、公表すべきだ。ましてや宝くじは公益性が高いサービス。少なくとも『再発しないよう対策を行った』という発表はあってしかるべき。『仕組みからありえる』という説明だけではあまりにも不誠実だ」。専門家はこう憤る。

 日本スポーツ振興センターは2月20日に公表したリリース文で、「発番の仕組みの詳細につきましては、セキュリティの観点から公表しておりません」と説明。日経ビジネスの取材に対しても、「偶然」を強調するだけで、善後策を取ろうとはしない。

 「試合結果をコンピューターがランダムに選択」「1等の当選確率(理論値)約480万の1」。BIGの広告はこう謳っている。ただ、サッカーの試合は勝ち・負け・引き分けが均等に3分の1ずつの確率で起こるわけではない。実力差があるチーム同士の対戦も少なくないからだ。

 試合結果に偏りが出る以上、なおさら組み合わせの抽出は無作為、完全なランダムに近い状態であるべきだろう。そうでなければ、くじの公平性そのものに疑義が生じることになる。

「ランダムに選択」はおとり

 ランダムを謳っておきながら、到底そうとは思えない奇跡的な組み合わせが出現した今回のBIG騒動。理論上の当選確率で比べると、BIGは1億円以上が当たる高額宝くじの中では「最も当たりやすい」と言われており、それが消費者の購買意欲を煽ってきた面があったのも事実だ。

 事業者と消費者との間にある圧倒的な「情報の非対称性」を利用した商法をおとりと定義するならば、どうやってくじの組み合わせを選んでいるか分からないブラックボックスを盾に、「偶然起きた現象」との抗弁を続けるBIGをそう断じても問題はないだろう。

 情報の非対称性が存在し続ける以上、おとりはなくならない。だが、消費者はバカではない。そんなヌルい状態にあぐらをかき続ける商法はいずれ消費者の信用を失い、総スカンを食らうことになる。それだけは間違いない。