経済活動を道徳で縛る発想は全体主義的

今の宅配便の仕組みは完全にオーバースペックであって、もっとコストを落とした別のインフラが必要だというわけですね。

松岡:いわば、エコノミークラスの料金の人を、ファーストクラスに乗せて運んでいるようなものです。しかも、ヤマトは構造改革の一つの柱として、運賃の値上げを発表していますよね。これは、私から見ればファーストクラスが埋まってしまったから値上げをしますと言っているのであって、根本的な解決にはなっていません。エコノミークラスの料金の人を、適正なコストで運ぶ新しいネットワークこそが必要でしょう。

 それともう一つ。ヤマトの問題が大きく報道されるようになってから、不在にするのはドライバーさんに申し訳ないという声が大きくなって、再配達がなくなるように家にいようという機運が高まりましたが、私はこうした動きには疑問です。もちろん、汗をかきながらシャンプーのような単価の安い荷物を再配達してくださるドライバーさんは、本当に気の毒で申し訳なく思います。しかし、経済活動を道徳で縛るような発想は、経済発展にとって正しい姿なのでしょうか。

 経済発展というのは、結局、欲望をいかに満たしていくかと企業側が努力することで実現するものです。それを消費者に我慢しろというのは、社会主義的だと思いますよ。

それでは、具体的にはどのような宅配ネットワークが必要なのでしょうか。

松岡:そこで重要になるのが、「同時性の解消」という観点です。具体的には、宅配の“セルフサービス化”による同時性の解消です。やはり、一番可能性があるのが宅配ボックスというソリューションだと考えています。

 このアイデアは山手が出してくれました。私は最初、コンビニや百貨店、スーパーなどの店舗に宅配ボックスを設置して、それらを荷物の受け取り拠点にすることを考えました。それによって、荷物を取りに行くことが動機付けになり、店舗で買い物もしてくれるかもしれない。

 ただ、それでも現在の宅配総数は約40億個ですから、全然足りません。