短い時間だけ働く社員待遇も検討

(写真:北山宏一)
(写真:北山宏一)

人手不足を解消するための、今期以降の増員計画についてはどのように考えていますか。

長尾:働き方のニーズが多様化しているので、それに対応できるようにしなければなりません。業界全体がそうかもしれませんが、特にセールスドライバーは、労働時間が長いという特徴がありますよね。今の働き方だと、なかなか続かない層がいるのは事実です。

 そのため、より短い時間だけ働く社員待遇という制度の新設を研究しています。おそらく今期中には実施できると思います。今、一番問題になっているのはパートタイムの社員ですから、パートタイムの社員の労働力をどう確保していくかというところの具体策を出すべきだと思っています。

ヤマトといえば、「新市場への挑戦」「サービスが先、利益が後」「全員経営」「高い倫理観」など、元社長の小倉昌男さんが唱えた経営理論が「小倉イズム」として社内に強く残っている印象を受けます。長尾社長は小倉イズムをどのように捉えていますか

長尾:私は何も変わらないと思っています。小倉昌男、ならびに創業者の小倉康臣が作ってきた理念というものを、きちんと大事にしたいがために改革をやるということだと思っています。

 ネット通販に対しては、今の宅急便だけで向き合えるとは思っていません。ネット通販の需要が非常に大きい都市部に関しては、いろいろな受け取りの選択肢を提供していかなければならないでしょう。それは、宅急便の高度化によって対応できる部分と、そうではなく新しいネットワークを作る部分があると思っています。

今回のサービス残業が常態化していた事態は非常に残念です。小倉さんの「全員経営」という考え方について、長尾社長の考えを聞かせてください。

長尾:全国に約4000の営業拠点あって、それぞれが地域のお客様に向き合って商売をしています。セールスドライバー一人ひとりが、お客さんを持って日々の商売をしていますので、「全員経営」がこれからもより一層求められるのは間違いありません。

 その「全員経営」を進めていくためにも、今の時代に合わせた経営の仕組みというものを、改めて作っていく必要があるというのが、私の一番の大きな課題認識です。

今の時代に合わせた経営の仕組みとは、具体的にはどのようなものをイメージしていますか。

長尾:ボリュームをしっかりと想定して、そこに対して最適な戦力を配置することができる経営の仕組みです。現時点では、その仕組みに問題があったと思っています。

 全国の約4000の営業拠点について、それぞれの拠点の損益計算書は出ていますし、日々の経営数値も全部見えています。ただ、経営数値が見えていても、人員の配置に無理が生じているところがないかどうかを、可視化できる仕組みがありませんでした。今後は、そうした仕組みを入れていく必要があると考えています。

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