ヤマト運輸の長尾裕社長へのインタビュー後編。時折、苛立ちを隠さず、ネット通販の今後の成長はヤマトが荷物を運ばなければなありえないとの自負をのぞかせた。そして、宅急便のみの配達ネットワークの限界を認め、宅配ロッカーなど受け取りニーズ別に特化した新たなネットワークの構築も目指すと語る。(インタビュー前編はこちら

(日経ビジネス5月29日号では特集「ヤマトの誤算 本当に人手不足のせいなのか」を掲載しています。日経ビジネスDigitalの読者であれば、PCやスマホで全文をご覧いただけます)

長尾裕(ながお・ゆたか)氏
1988年ヤマト運輸入社。2009年、TSS営業推進室長。2010年、執行役員兼関東支社長。2013年、常務執行役員。2015年にヤマト運輸の社長に就任し、2017年6月からヤマトホールディングスの取締役を兼務する予定(写真:的野弘路)

宅急便の総量抑制や時間帯指定の見直しなどを柱とした宅配事業の構造改革を発表しました。ただ、今後はさらにネット通販の荷物が想定以上に増える可能性があります。そういう事態に対して、今後はどういうスタンスで向き合いますか。

長尾裕・ヤマト運輸社長(以下、長尾):ネット通販の荷物を、ヤマト運輸が全て受けなければいけないのでしょうか。

そんなことはないと思います。

長尾:何かご質問の中身がすごく意図的に聞こます。佐川急便さんはアマゾンさんの荷物を断って賢明でしたね、とでも言いたいのでしょうか。アマゾンさんの荷物を誰も受けていなければ、結構大きな問題になっていましたよね。

様々なブランド調査を見ても、ヤマトはかなり高い評価を受けています。それは、消費者が日々、ヤマトに荷物を運んでもらっているということを実感しているからだと思います。ヤマトが全ての荷物を受けなければならないということではなく、社会全体としてネット通販の荷物は増えると予想されていますが、それに対してヤマトはどのように対応しますか、という質問です。

長尾:いや、「ネット通販の荷物は増えます」という前提がよく分からないのですが、運び手がいなくなったらどうやって増やすんですか。運び手がいなくなったら、どうやってネット通販は荷物を増やすんですか。

 荷物というのは運ぶ前提があって荷物でしょう。

決して全てをヤマトが引き受けるべきという前提で質問しているわけではありません。

長尾:基本的にネット通販というものは、非常にいい存在だと思いますよ。これからの世の中を考えても、これだけ高齢化社会が進んでいて、ある意味、あってしかるべきビジネスだと思います。ただし、それは荷物を運んで初めて成立するビジネスじゃないですか。

そうですね。

長尾:そこに関して、荷物が増える前提で、さあ、ヤマトはどうするのかという議論は、順序が逆で大間違いだと思いますよ。