駐車違反の罰金が年100万円以上に

 酒類の集配を担うワタコー(東京・葛飾)も、駐車違反に苦しんでいる運送会社だ。同社は2006年度以降、駐車違反の件数が増え、多い年では49件の駐車違反を受けている。

 同社は94人の運転手と100台ほどのトラックを抱える。大型車の駐車違反の罰金は2万1000円であり、年49回の違反では100万円以上の負担となる。

 渡邊直人社長は「1度の違反で1日の運賃がほぼ飛んでしまう。経営の大きな負担になっている」と話す。また、後述のように“狙い撃ち”される恐れがあるため、駐車違反になったトラックについては稼働を減らすケースがあり、まさに「駐禁地獄」のような状況だという。

ワタコーの従業員は、こうしたトラックに乗って東京の繁華街に酒類を届けている
 

 同社は東京の銀座、赤坂、六本木の酒屋や飲食店に酒類を配送している。いずれも繁華街のど真ん中に立地しており、駐車スペースがほとんどない。

 飲食店に酒類を運んでいる間に、駐車監視員によって、配送トラックに駐車違反のステッカーを貼られることが多い。同じルートを回っているため、狙い撃ちされるケースもあるという。

 例えば銀座でのこと。トラックから降りて、ビルの中の飲食店に酒類を届けるためにエレベーターに乗り、外を見た時にトラックに近づく駐車監視員の姿を確認。慌てて戻ったものの、駐車違反を回避することはできなかった。

 道路交通法では運転手がそのクルマを離れていて、直ちに運転できない状態にあるものを放置車両とし、駐車違反の対象としている。

 同乗者が運転できる体制でいれば違反にはならないが、2人の配送体制にすれば人件費が2倍になってしまう。また、1日40~50件を回るため、1件ずつ配送先から離れた駐車場に停めるのは業務効率や採算性を考えると現実的ではないという。

 当初はダッシュボードの上に、配送先とすぐに戻る旨を書いた紙を置いていたが、“抑止効果”はほとんどなかったという。

 「大前提として駐車違反による交通事故を減らすことには協力したい。しかし、繁華街に酒類を届けるという業務内容からして、現実的には抜本的な対策を取るのが難しい」と渡邊社長は語る。