賃金の低い運送業界
運送業界から賃上げへの要望は非常に強い。人手不足に陥っているのは、仕事の割に賃金が安いからだ。
厚生労働省の統計によると、運送業界の賃金の低さが際立っている。2015年における正社員の「運輸業、郵便業」の1カ月当たり賃金は27万7600円と、業種別では最低レベルだ。「情報通信業」の40万900円や「金融業、保険業」の39万2200円に大きく水を空けられている。

昨年、ヤマト運輸の事業所が残業代の不払いなどによる労働基準法違反で労働基準監督署から是正勧告を受けていた。同社も残業時間や賃金に関する問題を抱えている。
賃金を上げられれば、人を集めやすくなり、労働負荷の軽減も期待できる。そのためには利益の確保が必要になる。利益を確保するためには、運賃の値上げが不可欠だ。
運送業界はどの会社も利益率が低い。ヤマト運輸の親会社であるヤマトホールディングスの2017年3月期の営業利益率は3.97%、佐川急便の親会社であるSGホールディングスのそれは5.43%の見通しだ。日本郵便の2016年4~12月期の経常利益率は1.13%だった。
問題を突き詰めれば、今回の物流パニックの中での大きな焦点は、業界最大手のヤマトがどれだけ運賃を値上げできるかにある。
Powered by リゾーム?