物流の現場が悲鳴を上げている。ネット通販の急増で宅配便の取り扱い個数が急増するなか、人手不足が深刻で宅配現場の労働負荷が急速に高まっている。長距離のトラック運転手が不足しているため、荷物の幹線輸送も維持が難しい状況だ。
一方、物流需要の急増はビジネスチャンスでもある。ネット通販の拡大に対応して、物流倉庫の建設ラッシュに沸く。人工知能やロボットの活用で、効率的な物流システムを構築する動きも進んでいる。
経済の大動脈である物流の現場は今、どうなっているのか。課題の検証と共に各社の取り組みを追う。
シリーズ
物流パニック

完結
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「宅配ボックス100万台時代」が到来する
ヤマト運輸が構造改革に着手している。ヤマトはなぜ、危機に直面したのか。6月上旬に著書『宅配がなくなる日』(日本経済新聞出版社)を上梓した、フロンティア・マネジメントの松岡真宏氏は、時間価値の激変が背景にあると話す。そして…
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「考える経営」が現状を打ち破る
残業代未払いや荷物の増加に伴う当日配達の見直しなどで揺れたヤマト運輸。同社元会長、都築幹彦氏は「(経営の立て直しのためには)会社を作り変えろ」と説き、「信頼」「挑戦」「人」など、ヤマトが取り組むべき課題を挙げる。
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ヤマトは会社を作り直して信頼を取り戻せ
残業代の未払いや当日配送の見直しなどの問題に揺れたヤマト運輸。消費者の生活に根ざしたサービスを提供する優良企業だったはずのヤマトに何が起きたのか。事情をよく知る元会長に聞いた。
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ヤマトなしにはアマゾンは成長しない?
ヤマト運輸の長尾裕社長へのインタビュー後編。時折、苛立ちを隠さず、ネット通販の今後の成長はヤマトが荷物を運ばなければありえないとの自負をのぞかせた。そして、宅急便のみの配達ネットワークの限界を認め、宅配ロッカーなど受け取…
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「(ヤマトがやらなければ)誰が運ぶのですか」
ヤマト運輸は宅配現場の混乱の主因として「想定を超えるネット通販の急増」「人手不足」などを挙げるが、本当にそうなのだろうか。同社の長尾裕社長に宅配現場の変化や、ネット通販大手などとの契約の考え方を聞いた。
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ヤマトHD社長「離反する顧客がいても仕方ない」
ヤマトホールディングス(HD)のビジネスモデルが岐路に立っている。日経ビジネス5月29日号特集「ヤマトの誤算」では経営の課題について検証。山内雅喜社長に様々な疑問をぶつけ、運賃改定と働き方改革への覚悟を聞いた。
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ヤマトが撤退してもアマゾンは当日配送を続ける
4月7日、ヤマト運輸がアマゾンの当日配送サービスの受託から撤退する方針を固めたと報じられた。人手不足などで配達員の負荷が増大していることへの対応策の一つだという。これ受けてアマゾンはどう動くのか。物流コンサルティングなど…
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佐川だけじゃない。運送会社の「駐禁地獄」
佐川急便では2016年度、駐車違反の身代わり出頭事件で106人の従業員が立件された。94人の運転手を抱える運送会社が年49回の駐車違反の取り締まりを受けたケースもある。法令順守と現実の配送業務の狭間で、運送会社は苦しんで…
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「宅配便の再配達はゼロにできる」
ヤマト運輸が急増するネット通販と宅配現場の窮状を受け、宅配システムの改革や宅配ドライバーの働き方改革を検討している。様々なアイデアが出ているが、何を優先すべきなのか。イー・ロジットの角井亮一・代表取締役に聞いた。
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元社員「ヤマトは“サビ残”前提の会社だ」
ヤマト運輸が横浜北労働基準監督署から昨年12月に労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが9日、分かった。対象となった支店が是正勧告の対象となるのは2回目だ。ヤマト運輸は全社的なサービス残業の調査と未払い分の支払いに動き…
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ヤマト社員「我々はモノを運ぶ道具なのか」
ヤマト運輸の宅配現場の労働負荷が限界に達している。労働時間の長さが問題だが、その内容の変化も見逃せない。営業で荷物を集めてくるより、荷物の宅配に追われ、単調な仕事が多くなっている。ヤマトは仕事の量と質をどのように変えるの…
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