生活の細部にまでこだわり
一見些細なこだわりに見えることを、丁寧に積み重ねて良いものを作っていく早大ラグビー部の姿勢は、デザインだけに限ったことではありません。それはチーム作りにおいても同じです。
「どんな小さなことにも、徹底してこだわっていこう」。
これは、今年2月に行われた2016年度の初めての早大ラグビー部のチームミーティングの冒頭で、山下大悟・監督が選手たちに掛けた言葉です。そこで山下監督は選手たちに、自らのグラウンド内では必ず指定の練習着を身に着けるよう指示を出しました。これは、選手が「多くの人々のサポートを受けていることを忘れないように」という監督の思いを形にした試みの1つです。

選手たちは常に注目され、そのプレーの1つひとつに多くのファンやOB、パートナー企業の期待を乗せています。普段の生活や練習の時からこうした「勝利への期待」を意識させることが、苦しいときのプレーの質にもつながってくる。山下監督は、こう選手たちに指導しています。パートナー企業のロゴマークを背負った練習着は、選手の意識を変える重要なアイテムなのです。
また練習着を徹底して統一する狙いは、もう1つあります。全員が一体となって、山下監督が今年の目標として掲げる「『鎖』のように切れないディフェンスを持つチーム」を目指すためです。そろいの練習着で日ごろから連帯する気持ちを醸成し、常に連動を意識させる。昨年までにはなかった徹底した規律。これをまずは目に見える形で伝えていこうとしているのでしょう。これもまた、デザインの力の活用法と言えます。
一見小さなこだわりが、大きな物事を成し遂げていく。チームをデザインしていくと言うのは、姿形だけの問題ではありません。それを使う人や環境も整えることで初めてデザインはより良いものとなり、機能する(チームが強くなる)ようになるのです。最終的にこのユニフォームが最高のデザインになるか、それともとてつもなく格好悪いものになるかは、それを活用するチームの人々、そして選手の皆さん次第なのです。
(次回に続く)
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