背番号で伝統と誇りを背負う
ユニフォーム全体のイメージを固める上で、特に重視したのが「背番号」のデザインでした。背番号は、チームの誇りと伝統を背負う象徴でもあり、試合をより魅力的に見せる要素でもあります。そしてラグビーのユニフォームには選手の名前が入らないので、背番号が選手のポジションを表す重要な視覚要素となるからです。
そこでサッカーやアメリカンフットボールなど、ほかのスポーツのユニフォームの背番号のデザインを参考にしながら、どういった背番号が選手を強そうに見せるか、試合中に目立つかを検証しました。
そこで出来上がったのは、早稲田の「W」を角に配して「勢い」と「ハリ感」を強調したもの(A)から、背景に必ずベンチ入りできる選手の人数を表す「23」が入っており、全員一丸となって戦うプレースタイルを表現したもの(B)。丸みのあるフォントに早稲田の「稲穂」を背負うもの(C)などです。なかでも山下監督の関心を引いたのは、(A)のデザインでした。
外に向けてパワーを押し出し、さらに「早大ラグビー部の伝統と誇りを背負う」ことを強調する。最終案では、数字に輪郭を入れ、その中に過去の優勝年を小さく入れるアイデアが追加されました。

背番号のデザインが固まった後も、早大ラグビー部の部員の協力のもと、試作ユニフォームを使ったフィッティングを何度も繰り返しました。中でも、背番号をどれくらいの大きさにするかは、特に気を配っています。ユニフォームに対して背番号の大きさが小さすぎると、選手が強そうに見えず、衆目を集めることが出来ないからです。
ユニフォームのボーダー柄と同じく、背番号のサイズや位置も、ほんの数センチ違うだけで与える印象に違いが出ます。小さなことに思えるかもしれませんが、こういった細部への配慮の積み重ねが、チームを強くするデザインに繋がるのではないでしょうか?
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