新チームの戦術やスタッフ編成、選手の育成方針を策定するのと同時に山下監督が重視したのが、監督の言葉を借りれば、この「ソフトパワーを活用して外部からチームを盛り上げること」でした。選手を盛り立て、OBをはじめとするファンやスポンサーにこれまで以上の関心とチーム愛を持ってもらい、支援体制を強固にすること。チームの魅力作りは、そのままチーム強化に直結する重要なテーマなのです。

勝つために必要なことは何でも取り入れる

 山下監督と一緒にまず着手したのが、ユニフォームの見直しです。今年度から、スポーツメーカーのアシックスがオフィシャルパートナーとしてユニフォームをはじめとするウェアやシューズ一式を提供してくれることになり、そのタイミングもあり共同で開発を行うことになりました。

 ユニフォームをデザインするにあたって、まずは山下監督と「どこまで革新性を持たせるか」について話し合いました。その結果「伝統は尊重するが、勝つために必要なことは徹底的に取り入れる」ことを確認しました。ラグビー部設立当時から変わらない、えんじと黒のボーダー柄。その意匠を踏襲しつつも、勝利に必要ならば大胆に変えることも辞さない。そんな山下監督の思いを聞き、覚悟を持ってデザインに臨みました。

 まずは、伝統を意識せずフラットな視点でユニフォームについて考えたい。そのためには、十分なリサーチが必要になります。今回は、さまざまな視点から情報を得てユニフォームの分析を行いましたが、手始めにライバルチームや、各国の代表チームのユニフォームを取り寄せて、実際に触れて過去の早大ラグビー部のものと比較してみることから始めました。

2015年までのユニフォーム
2015年までのユニフォーム
nendoがデザインした新ユニフォーム。ラグビーの各国代表チームが着るようなタイトフィットのものをベースにデザインを進めた
nendoがデザインした新ユニフォーム。ラグビーの各国代表チームが着るようなタイトフィットのものをベースにデザインを進めた

 早大ラグビー部のこれまでのユニフォームは、上の写真のようにシルエットに余裕がある寸胴タイプです。しかし、各国代表チームや強豪チームのユニフォームは、身体にフィットする形が主流となっています。タイトフィットのユニフォームは選手の動きを邪魔せず、走る際の空気抵抗を低減し、敵チームに服の裾を掴まれにくいという利点がある。しかし、これまで早大ラグビー部は伝統にこだわり、クラシックなものを選んでいたのです。

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