その山下監督からお話をいただいたのが、監督就任前の2015年12月。もともとの依頼は、100周年の記念ロゴをデザインしてほしいというものでした。しかしお話を聞くうちに、もっといろいろな形で早大ラグビー部の変革に貢献できるのではないか、チームを強くすることに私たちnendoの力がお役に立てるのではないかという気持ちが強くなり、チームに関わるあらゆるものごとを、デザインの視点からお手伝いしようということになりました。

 例えばユニフォーム。効果的にデザインできれば、選手が誇りを持って戦えるようになり、逆に対戦相手にはプレッシャーを与えるような視覚的な強さを与えることができるでしょう。また、選手が最大のパフォーマンスを発揮できるような機能性を持たせることも可能でしょうし、さらにファンが今まで以上に試合を楽しんでくれるエンターテインメント性も提供できるはずです。

デザインには巻き込む力がある

 デザインには、選手だけではなくファンなど関係者全員を巻き込む力があると思っています。もちろん、デザインが活躍する場面はユニフォームだけではありません。新チームのスローガンをどうするか、それを映像やビジュアルでいかに分かりやすく伝えるか。そのほか練習場や応援グッズ、そしてチームの今を伝えるウェブサイトなど、あらゆるものごとをデザインし直すことで、チームそのものをこれまで以上に魅力的にできると考えています。これは、企業で言うところのブランディングそのものです。

 こうしたブランディングがなぜ必要なのでしょうか。うまくいけば、まず、選手たちの士気が大いに高まります。そして注目がどんどん集まれば、寄付や物販を通じてより豊富な活動資金を調達できるようになるでしょう。なにしろ、現在の早大ラグビー部の予算は年間数千万円ほどしかありません。これはライバルの帝京大学の数分の1とも言われています。優秀なコーチ陣をリクルートして、トレーニングのための設備投資を行う。そのほか、選手が試合に集中するための環境を整えて勝つためには、アマチュアチームといえど、最低限の資金が必要なのです。

 ブランディングがうまく進み、強く格好良いチームを作ることができれば、今後、将来有望な選手がどんどんと早稲田を目指してきてくれるようになります。短期的な優勝という視点だけではなく、長期的に勝ち続けるチーム作りにも、デザインは役立ってくれるのではないかと思っています。

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