最大手の電通は、時間と手間がかかる長文ESを書かせることで志望者の本気度を問う(写真=時事通信フォト)
最大手の電通は、時間と手間がかかる長文ESを書かせることで志望者の本気度を問う(写真=時事通信フォト)

 広告会社はその華やかなイメージもあり、人気業種になっている。それだけに大手の電通や博報堂になると、採用数100人に対して1万人を超えるエントリーが集まるほど激戦となる。

 広告会社の業務は、メディアの広告枠を自社商品やサービスを宣伝したい企業に販売し、その手数料を得ることから始まる。広告枠はテレビ番組の合間に流れるコマーシャルや新聞紙面上の広告、雑誌広告がイメージしやすいだろう。大手になればコマーシャル映像や広告コピーなど、広告素材を制作するクリエーティブも手掛ける。

 メディアの多様化により、広告会社の活躍の場が広がっている。インターネット広告に加え、デジタルサイネージなどを利用する屋外広告など、広告枠は多岐にわたっている。単純に枠を売るだけでなく、限られた予算の中で広告効果をどう最大化するかをクライアント企業に提案する必要がある。

 得意分野は各社で異なり、最大手の電通や博報堂は総合力が強み。東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅や車両内の広告を専門的に手掛けるJR東日本企画(jeki)や、インターネット広告に強いサイバーエージェントなどがある。

 求められている人材像はどうか。博報堂人事部の朝妻太郎氏は「広告会社で活躍するのは、相手を理解し、求めているものが何かも理解し、正しいタイミングで答えを出せる人。極めて高いコミュニケーション能力が求められている」と説明する。

 採用はES(エントリーシート)やウェブテストから始まり、面接やGD(グループディスカッション)を経て内定という流れは変わらない。人気が高いだけにES突破が難関となる。

 例えば電通は2016年卒採用のESでプロフィール、学生時代に何をやっていたか、課題の3つを長文で書かせた。課題は「有名な物語を1つ挙げ、その後のストーリーを書け」というものだ。

 電通人事局の根橋敬・採用部長は「想像力・発想力を評価したい。難しい課題も楽しんで取り組めているかも見ている」と出題の意図を説明する。文章の中身を考えて書くことは時間もかかるため、本気で志望している人だけに絞り込みたい意図もあるようだ。

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