健全な危機感を持っているか
海外路線網も多い航空では英語力の有無に関する質問が定番。ANAの松村氏は「できない人も採用しているが、入社後に英語を使う機会は多く、できた方が絶対いい」と強調する。訪日外国人観光客が急増する成田空港など現場での接客はもちろん、共同運航など事業面での提携企業も海外勢が多いからだ。ただ、採用後に語学力を高められれば問題はない。
総合職は文系向きの仕事ばかり、というのも誤解だ。日本航空(JAL)人財本部の佐藤雅範氏は「文系・理系という区分は採用には全く関係ない。座席数の変動や料金設定による収支分析、運航機材のやり繰りなど、むしろ理系の学生の方が有利な分野も多い」と話す。
鉄道の場合、「沿線に住んでいないと不利にならないか」と不安に感じる人が多い。「当社の沿線や事業に興味は必要だが、沿線外でも問題はない。沿線外に住んでいる社員も大勢いる」(小田急電鉄人事部の柏原啓大氏)。
このほか、鉄道車両や航空機などが大好きで入社を希望する人もいるかもしれない。だが、採用段階でそれを強調することは控えるべきだろう。「個人的な嗜好で変なこだわりを業務に持ち込んでこないか」(鉄道各社)と逆に警戒対象になりかねないからだ。
昔はどちらかというと、男社会のイメージもあった交通系。しかし現在は女性の採用にも積極的に取り組んでいる。相場は企業にもよるが、総合職内定者のおおむね2~3割は女性といったところ。各社とも多様な事業部門があり、運輸の現場はもちろん、それ以外でも活躍の場は広がっている。
《本記事は、日経ビジネス2015年12月21日号スペシャルリポートを再構成しました》
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