
「自分にとって良い会社とはどんな会社なのか。それを考えるうえで前提となるのが、自分の判断基準を把握しておくことだ」。人事コンサルタントの新田龍氏はそう強調する。
給料や業務内容、その企業の社会的ステータスは誰でも気になるところだ。最近ではワークライフバランスや女性活用への姿勢などを重視する人も増えている。周囲の意見も踏まえつつ、最後は自分の価値観に沿って働く場所を選びたい。
企業を選ぶうえで参考になるのが各種の経営指標やランキングだ。客観的な情報を基にすれば、働いてみたい会社が効率的に見つかるはずだ。
給与の額を重視する人にとっては、平均年収の高い企業の例が参考になるだろう。総合商社やテレビ局などでは、1000万円という大台を軽く超える年収額が並ぶ。キーエンスやファナックなどのメーカーは一般的な知名度は高くはないが、独自技術で強い競争力を誇るため高い給与水準を維持している。
従業員満足度が高い条件
上場企業ならば、「有価証券報告書」の中に平均年間給与が記載されている。「EDINET」というサイトを使えば誰でも調べることができる。有報には従業員の平均年齢や平均勤続年数なども示されている。同業他社と比べて数値が極端に高かったり低かったりしていないかをチェックしておくことは、志望企業を選ぶうえで重要となる。
女性の積極登用や、長く働き続けられる社内環境整備に積極的な会社を集めたリストとして、「なでしこ銘柄」がある。経済産業省と東京証券取引所が年に1度選定しており、直近の2014年度分は40社が名を連ねた。東証1部上場企業の中から、業種ごとに女性のキャリア促進や仕事と家庭の両立支援について評価している。さらに財務基盤や収益力について、一定の基準を満たした企業がリストアップされている。
鉄鋼や素材、機械、海運など、どちらかと言えば男社会のイメージを抱かれがちな企業でも、女性活用に動き出しているところは少なくない。例えば日本郵船では企業内保育所の設置や女性の管理職への登用、配偶者の転勤時の長期休業制度の導入などに取り組んでおり、「女性でも働きやすいことを知ってほしい」(同社の経営企画本部)。
日産自動車やKDDI、ニコンなどは3年連続でなでしこ銘柄に選定されている。こうした継続性も参考にしたい。最新の2015年度分は今年の春頃に発表される見通しだ。先入観にとらわれずに客観的なデータをうまく活用すれば、良い会社を効率的に「発掘」できるようになるだろう。
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