例外もあり、鋭い質問をした場合は「自然に顔を覚えてしまう」というケースはある。ある交通会社で「車両のやりくりについて説明した際に、減価償却の面での課題を指摘した学生がいた。あえて言わなかったが、実際は指摘の通りだった」。その就活生はESを出さなかったが、「出してくれていればESは通過させるつもりだった」。

 一方で注意したいのは、評論家的な質問だ。「ビジネスモデルが古いなど厳しい論評をした後に、今後はどうするのかと質問する学生がいた。現実を知らない学生に指摘されても…」(百貨店)など、反感を持つケースが多い。

 説明会の終わりに採用担当者のところにやってきて質問する学生もいるが、質問内容に注意したい。「銀行と証券の違いって何ですかと、終わってから質問する学生がいた。それは今しがた説明したばかりだった。聞いていないのか、質問して目立ってやろうというのか、いずれも印象が悪い」(証券)。

 説明会は大勢の就活生がいるので、採用担当者は就活生の態度は見ていないと言われるが、これもウソだ。逆にしっかりと見ている。

 「眠そうにしていた就活生が説明会後に『すごい参考になりました!』と満面の笑みで話したのでゾッとした」(商社)。「当社の説明会では参加証を印刷して持ってきてもらい、IDを確認するのだが、スマホの画面を見せる学生が少なくない。小さくてIDが読めなかった…」(商社)など、いずれもダメな学生としてチェックされている。

やっぱり学歴は「見ている」

 ESを出す際に気になる噂が、大学名でふるいにかける「学歴フィルター」の存在だ。「ここ十数年、特定の自動車メーカーの内定者が出たことがない」(私立大キャリアセンター)といった声もある。印象の悪さから各企業とも否定するが、これはホントだ。

 ある採用担当者がささやく。「どんな大学にも優秀な人がいるのは分かっているが、確率論で言えば上位大学に優秀な人が多い。時間に限りがある中で選抜する必要もあり、学歴フィルターを使う」。この企業ではMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)以上の大学を採用対象にしている。HR総研によると、大企業の56%が「ターゲット校」を設定しているとの調査結果もある。

 学歴は変えられないからどうするか。HR総研の松岡仁・主任研究員は「定期的に先輩が採用されているか、学内説明会に来ているかを見れば自分の大学がフィルターをかけられているかどうかの目安になる。残念ながら対象外だった場合、門前払いの可能性も踏まえて挑むことが大切」とアドバイスする。

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