JR九州の本郷譲・専務取締役事業開発本部長は、「博多まちづくり推進協議会」の会長も務める(写真:林田大輔)
JR九州の本郷譲・専務取締役事業開発本部長は、「博多まちづくり推進協議会」の会長も務める(写真:林田大輔)

 「駅ビルについては30年前に外部のコンサルタントから、『博多駅を強くするべき』という助言を受けていた。博多駅ビルの完成は、当社の成長を左右する分水嶺だったともいえる」とJR九州の本郷譲・専務取締役事業開発本部長は話す。

 駅ビルの建設には、これまでとは全く違う課題を抱えていた。福岡空港に近いため、ビルには高度制限があり、線路の上に覆いかぶさるような構造をとらざるを得なかったのだ。このため、時間とコストがかかった上に、安全上の配慮も必要だったという。

 駅ビルの機能拡充だけに腐心するのではなく、博多の街全体を盛り上げるような工夫も求められた。博多駅から、市の中心繁華街である天神までは、2km以上ある。その距離をいかに“縮める”かが、関係者の課題だった。

 対策の一つは、駅前に2つあったタクシープールを1つにして広い駅前広場を作ったこと。「鉄道利用とは別に、駅を賑わいの拠点にしようと考えた。人が集まる場となれば、駅から街へ出て楽しむ方も増えるはず」(本郷専務取締役)。現在、博多駅と天神を結ぶ大通りは、回遊しやすいように、車線を減らして歩道を拡幅する工事が進んでいる。

 また、ソフト面でも天神地区との連携を強めるようにした。2008年には地元企業や駅周辺の土地所有者、自治体などからなる「博多まちづくり推進協議会」を設立。2011年からは天神の伝統的な祭り「博多どんたく港まつり」に合わせて、博多駅の方でもパレード「はかた駅前“どんたく”ストリート」を開催し、好評を博している。

 このほかにもクリスマスのイルミネーションや雑貨を売る「クリスマスマーケット」、9月の音楽フェスティバルなども天神地区と連携して開き、エリア全体で繰り返し訪れたくなるようなきっかけを作っている。

 2016年春、博多駅前には日本郵便が新たな商業施設「KITTE博多」を開業し、大手百貨店の「マルイ」が入った。こうした影響について、本郷専務取締役は「エリアとしての集客の相乗効果の方が上回り、売り上げのダメージは受けていない。エリアの経済の活性化のために、ともに努力を続けたい」と話す。

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