駅ビルの外観やコンコースのデザインは、豪華寝台列車「ななつ星in九州」を手掛けた水戸岡鋭治氏による。ランドマークとなる外観には、大分に南蛮文化を伝えた宣教師フランシスコ・ザビエルの居城の要素を取り入れた。コンコースが駅の南側と北側を結ぶ。(写真右:山本巌)
駅ビルの外観やコンコースのデザインは、豪華寝台列車「ななつ星in九州」を手掛けた水戸岡鋭治氏による。ランドマークとなる外観には、大分に南蛮文化を伝えた宣教師フランシスコ・ザビエルの居城の要素を取り入れた。コンコースが駅の南側と北側を結ぶ。(写真右:山本巌)
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駅の南側は、かつて国鉄の用地で閑散としていたが、再開発事業でマンションなどが立ち並ぶ人気エリアとなった。(写真:山本巌)
駅の南側は、かつて国鉄の用地で閑散としていたが、再開発事業でマンションなどが立ち並ぶ人気エリアとなった。(写真:山本巌)

 大分市の調査によると、駅前から半径1kmにおける歩行者の年間通行量は、2012年度の30万人から、2015年度の35万人へと18%増加した。また、街中に3時間以上滞留する人の割合は、10.4ポイント増えたという効果が出ている。

 「駅ビルは開業した初年度、2420万人の来館者があった。大分の人口は約50万人しかいないので、幅広い世代で繰り返し来てくれたことになる。街全体のにぎわいも出てきている」と駅ビルの運営主体であるJR大分シティの関信介社長は手ごたえを語る。

JR大分シティの関信介社長は、駅周辺の開発事業による手ごたえを感じているという(写真:山本巌)
JR大分シティの関信介社長は、駅周辺の開発事業による手ごたえを感じているという(写真:山本巌)

従来とは全く違う課題を抱えていた博多駅ビル開発

 JR九州が本格的な駅ビルを手掛けたのは、1998年、小倉駅の「アミュプラザ小倉」にさかのぼる。ホテルや商業施設を備え、当時はその規模が話題となった。その2年後には長崎駅で「アミュプラザ長崎」を開業し、ホテルや商業施設に加えてシネマコンプレックスを誘致した。当時、シネコンは郊外のショッピングセンターに併設される地域が多く、注目を集めた。

 さらに独自色が強くなったのは、2004年に開業した鹿児島中央駅の「アミュプラザ鹿児島」だ。駅舎と駅ビルの間に屋根付きの広場を設けてイベントを開催できるようにしたり、大観覧車を置いたりして、アミューズメントの要素を加え「集う場」としての機能を強化したのが特徴だった。

 こうした経験をふまえて取り組んだのが、2011年に開業した博多駅の「JR博多シティ」だった。JR九州は分割民営化後、「株式上場」という大きな目標のほかに2大プロジェクトがあった。1つは九州新幹線の全線開通で、もう一つが博多の駅ビル開業だった。