事業環境だけではなく、経営にも焦点を当てるべきということですね。

葛西:北海道庁など公的機関とどのような関わりを持つかもポイントです。JR北海道は、30年間で1回だけ運賃値上げをしました。これまでなんとか持たせてきたのは、努力の一つだと言えるかもしれません。

 国鉄の分割民営化で4社が上場して、四国は国策によって経営が成り立ちにくくなりましたが、北海道は何をやり得たかを検証した方がいい。

 (国鉄の分割民営化については)中曽根康弘内閣だけでなく、自民党のほか、野党も最終的には同調し、世論がバックアップしてくれたことは大いに評価されてしかるべきではないでしょうか。

JR各社に対する株式市場の評価は高くありません。

葛西:電力会社に比べたら評価されていますよ。他の公共事業、航空会社に比べても評価は高い。当社は小さなところなので見えやすいのかもしれません。

角栄氏の日本列島改造論は誇大妄想

田中角栄元首相の関連書籍や雑誌が売れ、元首相の考え方に注目が集まっています。元首相の著書『日本列島改造論』(日刊工業新聞社)にも鉄道への言及が多くあります。新幹線網を全国に張り巡らせることで、地方の過疎化を防ぎ、国土の均衡のある発展を促すという論理でした。どのように評価しますか。

田中角栄元首相の著書『日本列島改造論』(日刊工業新聞社)では、全国に新幹線網を張り巡らせることを主張している

葛西:列島改造論というのは誇大妄想だと思います。地質地形は神様が作ったものですよね。大風呂敷なのか妄想なのでしょうか。神様が作ったものを土木工事で改造するというのはあり得ません。

 結果的に土地バブルが起き、ハイパーインフレになりました。狂乱物価と石油ショックが重なりました。

 あれは現実的ではありません。高速鉄道は大量の輸送機関です。高速鉄道が出来たから人が集まるというのは考え過ぎです。

 人間がいるところに高速鉄道ができることによって、時間距離が短縮されると、そこにいる人間の経済活動の利便性が高まって、さらに人が増えてくるという形にはなります。

 人が少ないところで列島を改造しても、同じような効果は期待できないと思います。