大学病院運営ガバナンス強化への提言まとまる

 医療安全上の問題により群馬大学病院と東京女子医科大学病院が特定機能病院の承認を取り消されたのを契機に、安全管理体制の整備に加えて大学附属病院の運営におけるガバナンス強化策が注目されるようになり、厚生労働省は2016年に「大学附属病院等のガバナンスに関する検討会」を立ち上げた。9月までに5回の議論が行われたが、焦点となったのは、医療提供の責任者である大学病院長がリーダーシップを発揮出来ようにするための権限の明確化と選考基準である。

 これまで病院長は、教育公務員特例法第3条の「学部長の採用のための選考は、当該学部の教授会の議に基づき、学長が行う」との記述に由来する慣行から、医学部教授会などでの選挙で選ばれることが多かった。

 一方、文部科学省は大学運営における学長のリーダーシップ確立を目的に、2015年に国立大学法人法施行規則を改正、「学部、研究科、大学附置の研究所その他の教育研究上の重要な組織の長の任命は、学長又は機構長の定めるところにより行う」ものとした。

 これらの状況を受けて開催された検討会の途中には、国立大学附属病院長会議が「病院長選考に当たっては、病院長選考会議を設置し関係教職員や学外有識者の意見を聴取の上、複数の候補者の中から学長が選考することが重要である」とする提言を提出している。

 そして5回目の会議に提出された「とりまとめ(案)」では、
1) 法令で求められる医療安全管理業務の経験に加え、組織マネジメントの脂質・能力など、自院の管理者(病院長)に求められる資質・能力の基準を予め公表する
2) 候補者がその基準に照らして適任かを、外部有識者も含めた選考会議といった合議体で審査する
3) 2)を踏まえ、任命権者が自らの責任において選考を行い、その結果については、選考の過程、基準に照らした選考の理由とともに遅滞なく公表すべきである
という記述となった。

「学長の強いリーダーシップの下で指名すれば良い」は少数

 とりまとめ(案)に先立って行った日経メディカル Onlineの医師会員を対象に実施した調査では、「学長の強いリーダーシップの下で指名すれば良い」は少なく、「組織の円滑な運営のためには投票結果を重視した方が良い」と「選ばれた理由を明らかにすれば、どちらでもよい」が拮抗する結果となった。また、「関心がない」も、それらに匹敵する割合となった。

 大学病院勤務者に絞って見ると、「関心がない」が減るものの、残り3者の割合は全体と変わらなかった。

大学病院長はどう選ぶべき? (医師3386人)
調査概要
日経メディカル Onlineの医師会員を対象にオンラインアンケートを実施。期間は2016年8月29日~9月4日。有効回答数は3386人。回答者の年代の内訳は、20歳代1.7%、30歳代16.7%、40歳代28.6%、50歳代37.5%、60歳代14.1%、70歳以上1.4%。所属は、大学附属病院勤務医13.5%、大学附属病院以外の病院勤務医54.7%、診療所勤務医14.4%、開業医15.1%、その他2.3%。