最後に、今回のキャンペーンに対して、どのような印象を持っているかを聞いた。偏った情報を一方的に流す週刊誌に対する憤りが圧倒的だったが、アンジオテンシン2受容体拮抗薬を使った大規模臨床試験で指摘された一連の不正や腹腔鏡手術での事故などを例に、医療側としても襟を正すところがあり、反面教師として捉えるべきという意見も多かった。また、今回の騒動をきっかけに、患者が自分の治療にもっと関心を持ってくれるとありがたいという意見もあった。

問3:先生は、このキャンペーンに対してどのような印象持っていますか

・外来での患者からの問い合わせは思っていたほど多くはなく、いずれもきちんと説明すれば納得してもらえた。だが最も懸念されるのは、問い合わせすることなく勝手に服薬、通院を止めてしまう患者が必ずいるであろうこと。(このようなネガティブキャンペーンは)言語道断。売れている薬剤というのは、有効性の立証されている優れた薬剤がほとんど。特に脳心血管疾患の2次予防目的に服用中の患者が自己中断し、後遺症を残す疾患を再発したら誰が責任を取るのか。科学的根拠のない記事を興味本位に書き立てる無責任な姿勢に怒りを覚える。それを支持するとして名を出している、れっきとした医師にも唖然とする。(50歳代勤務医、循環器内科)

・他の業界で、例えば「ソバはアレルギーが出る場合があるので食べてはいけない」などというキャンペーンをしたら、訴訟を起こされるのではないか。なぜ医師会が週刊誌の名前を挙げて全面的に抗議しないのか不思議です。(50歳代診療所勤務医、代謝・内分泌内科)

・雑誌を売るためなら、人の健康を犠牲にしても構わない人々がいることが信じられない。(50歳代開業医、内科)

・記事内容と見出しが異なり、見出しにより患者に誤解を招いている。(30歳代診療所勤務医、代謝・内分泌内科)

・(キャンペーンの)記事をほぼ読みました。全てが嘘ではないが、論拠のないコメントも散見され、全体にマイナス面のみを取り上げており、一般の人たちの不安と不信をあおるような記事になっていると思いました。もっとも、医者の言うがままに治療を受けたり、何かあるとすぐに病院、すぐに薬といった傾向が強い、日本人の気質を考え直す1つのきっかけにもなると思います。(20歳代勤務医、精神科)

・患者が自分の病気や症状を自ら勉強するきっかけになってくれればいいと思う。また、安易に薬の処方を希望する患者が減ってくれればいいと思う。(40歳代勤務医、消化器内科)

・最近、高齢者の慢性疾患に対する薬が、統計的に有意というエビデンスのみで、幅を利かせているような気がします。急性期の症状を緩和するような薬は効果がすぐ分かりますが、慢性疾患の薬は、実際にコストに見合った効果があるのか、不明なものも多いと思います。週刊誌の内容は必ずしもうなずけるものとは言えなくても、考えさせられる点も、もちろんあります。ただし、週刊誌に影響されて処方は変えてはいません。このような機会をきっかけに、学会やマスコミが、どこが正しくてどこがおかしいのか議論することになればいいと思いますが、いつもそのような方向に進まないのが残念なところです。(60歳代診療所勤務医、代謝・内分泌内科)

・問題提起としてはいいと思います。医師の説明不足が問われていると思います。(60歳代勤務医、外科)

・いつの時代でもこういうことは話題になるので、気にしていない。(50歳代診療所勤務医、小児科)

・扇動するのはマスコミの常。(50歳代勤務医、泌尿器科)

・こういうネガティブキャンペーンのあとは、たいがい何らかのとんでもない政策を国は打ってくるので、興味深くはあります。(40歳代勤務医、精神科)

・診療は医師と患者さんとの信頼関係で成り立っていますので、十分に説明してもそのような記事を信じる方は、無理に治療を勧めても納得してくれないでしょう。それは仕方がないと思います。(50歳代開業医、眼科)

・乳腺外科専門医です。(1)手術の要否、(2)手術方法(温存か全摘か)、(3)補助薬物療法(特に化学療法、遺伝子抗体療法)などについて、セカンド・オピニオンを繰り返し求められています。当方の説明に対して懐疑的な態度を示されるのは残念。医師・患者関係のもろさを感じています。癌などの病気は、症例ごとに進行度も生物学的性格も異なり、治療法にしても、手術術式の適応や薬物適応の選択も異なっています。基礎的知識に乏しい患者に対して、権威ある学者のふりをして偏った意見を押し付けるのは、極めて不適切と考えます。(70歳以上勤務医、外科)
この記事は日経メディカルに2016年9月27日に掲載された記事を一部改編して転載したものです。内容は掲載時点での情報です。
まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。