4月14日から熊本県を中心に相次いだ地震(熊本地震)では、県外から多くの医療者が支援に駆け付けた。慣れない地域での診療では、その地域特有の方言の聞き取りも問題となる。今回、日経メディカル Onlineでは、医師会員を対象に方言に関するオンラインアンケートを実施。3195人から回答を得た。

 「東日本大震災の後、宮城県南三陸町の避難所に1週間派遣されたが、関西生まれの私は東北弁が理解できず困った」(総合診療科、50代)。アンケートでも寄せられたこんな事態を防ぐため、熊本地震では、福岡女学院大学(福岡市南区)がウェブサイト上で支援者が知っておきたい方言をまとめた「熊本支援方言プロジェクト」を立ち上げるなど、言葉の壁を越えるための支援にも目が向けられている。

図1 診療中の言葉が分からなかったことがある?

地元出身の看護師は強い味方
 災害時の医療支援に限らず、その地の言葉を知らなければ、患者の訴えを全く別の意味に捉えかねない。今回のアンケートで、「診療中に患者の使う言葉が分からなかった経験があるか」を聞いたところ、約6割が「(分からなかったことが)ある」と答えた(図1)。

 半数以上が、患者とのコミュニケーションにおいて方言の壁に難儀した経験があるという。実際に、「東北のズーズー弁は同じ県内でも県北と県南、県北でも海と内陸とでは全然違う。今でも微妙なニュアンスは分かりません」(循環器内科、50代)、「北海道の浜言葉が全く分からない。単語や言い回しのレベルではなく、高齢者の場合、異国の言葉に聞こえるほど」(一般内科、40代)という意見が散見された。

 そんなときに心強いのが、地元出身の看護師の手助け。「青森県津軽地方の病院では聞き取りにくい方言もありますが、横についた優しい看護師さんが上手に通訳してくれます」(呼吸器内科、50代)。「島根県の奥地のズーズー弁にも似た方言は、ほとんど理解不能でした。他の土地からお嫁入りしてきた在住8年の看護婦さんに通訳してもらいました」(整形外科、50代)など、通訳をお願いすることでなんとかなる場合が多い。

 ただし、「青森県津軽地方の高齢者の場合は、言葉そのものが分からない上にスピードが速く、全く理解不能。同じ地方出身の若い看護師に通訳を頼みますが、彼女たちでも理解できないことがありました」(一般内科、50代)という世代差も…。そんなときは、「沖縄県の高齢者は家族という通訳を介さないと会話が成り立たないことがしばしばある」(救急科、30代)というように、患者家族の助けが欠かせないようだ。