それから、途切れることなくやっている。

社会的課題を解決する新組織

:延々、続いています。しかも、単に続けているだけではなくて、社会的課題を解決する人材育成の体系を作っています。入社4年目から課長前ぐらいの監督職を対象にしていましたが、それに加えて、新任本部長研修や課長層にも福島でのフィールドワークを付け加えました。ですから、会社全体で見ると、若手担当者から監督職、課長、本部長という各階層のところで、被災地での教育プログラムが揃っているわけです。

新任本部長研修で、南相馬ソーラー・アグリパークにて討議(写真:野口勝宏)

今年度は、他社と一緒に福島で研修をしていると聞きました。

:富士通さんと一緒に、課長クラスが討議する研修をやっています。

違う企業と研修する狙いや効果は?

:互いの事業のコンピタンスが違うし、考え方も違う。違いが大きいので、うちの会社の人間だけでは出てこない物事の見方があって、いろいろな気付きが広がっていきます。

それにしても、福島での研修が多い。

:選抜型研修は全社で20本ほどプログラムがありますが、そのうちの4~5本を福島でやっています。ほかに、若手を対象に、JICAの青年海外協力隊の制度で新興国に1年派遣するプログラムもあります。でも、福島は研修の中心ではありますね。すでに合計930人の社員が訪れ、今年中には1000人に達するでしょう。ダブっている人はいないので、凸版単体で社員が8900人ですから10人に1人は福島で研修を受けた計算になります。半谷さんの南相馬が中心ですが、いわき市など他の地域でも実施しています。

これだけ増えると、仕事にも変化がありますか。

:会社組織が連動してきました。16年4月に社会問題解決のための組織、「ソーシャルビジネスセンター」が設立されたんです。

 5年前の福島での研修に始まって、会社組織が後から付いてきた形です。組織として、地方創生や健康支援、地方自治体の課題に対して、ビジネスとして取り組む枠組みができました。この枠組みと人材育成を今後、さらに回していって、社会の役に立てる会社になっていくのが基本的な考え方です。

この社会問題解決の組織は、2年前は何人でスタートしたんですか?

:100人はいましたね。

最初から、そんな大きな組織だったんですか。

:はい、小石川のビルを借りて、ワンフロアぶち抜きで企画開発部隊と営業部隊が入っていました。

ビジネスということは、採算が取れるという意味ですよね。

:もちろん、そういう意味です。ボランティアではなくて、しっかりとおカネをいただいて課題を解決する。

立ち上げの100人は、どの組織にいた方が多いんですか。

:元々は、公官庁の仕事をしている部隊ですね。そこに、コンテンツを作成する企画の人材も入っていきました。そこを今年1月にパワーアップして、企画開発を統合したり、ほかの人材も併せて「ソーシャルイノベーションセンター」に改称しました。

 我々の研修は、自ら行動して形にしてアウトプットするところまでやります。例えば、復興のための商品である「油菜ちゃん」という菜の花を使った油のミニボトルをデザインしたこともあります。あと、福島の森林保全(間伐)に寄与するカレンダーを作って売ったこともありました。