「人口減だから海外」は誤り

地方で人口が減る中でビジネスを成立させるポイントは?

冨山:人口が減るから県外(進出)だ、東京だ、海外だという発想は99%失敗する。やっちゃいけないわけではないけど、まず自分の商圏の中でダントツになること。技術でもサービスでも、それができないと、どこにいったってレッドオーシャン。青い芝生はそこにない。

先日、岩手県陸前高田市で取材した企業(本誌特集のPART1参照)は、圧倒的な付加価値のある商品を生み出すために、少なくとも5年は研究開発しかやらない、と宣言したそうです。なかなか地方企業にはない視点ですが、地方企業だからこそやらなければいけないことだとも思います。

冨山:研究開発かもしれないし、地道なオペレーションの改善かもしれない。何れにせよ、己を知らないとそれはできない。どこに競争力の源泉があってどこが弱みなのか理解しないといけない。結局、分かる化、見える化なんですよ。会社と従業員をちゃんと見れば、改善改良の余地はある。つまり伸びしろがある。自分でできなかったら、よそから人材を持ってくる。人間は自分のありのままの姿を見るのは辛い。傷に塩を塗ることだから。幸か不幸か、分かる化、見える化を地方企業は徹底的にやってない。これまで地方が衰退するのは仕方がない、東京に人が出て行くのは仕方がない、という諦観があったから。でもその分、改善余地はあるんです。

幸せ産まない地域はもうやめればいい

 これまでの政策も諦観を前提にした所得再分配だった。ゾンビの延命のための施策でしかなく、企業もそれに適応しちゃった。黒字にしたら助成金がもらえなくなるから、改善のモチベーションが湧かない。

 地域で持続的な営みができないなら、もうやめればいいと思います。人を幸福にするために地域がある。地域のために人があるわけではない。さっきも言ったように、仕事を作るための会社は必要ない。そして、ただ人を収容するための地域も必要ない。そんな地域はもののけ姫に返せばいい。

 東京だって(徳川)家康が来るまでただの湿地帯だったってことを忘れてはいけない。三陸だって戦後や明治以降の製鉄所の建設で人口が増えるまで、ほとんど人口はない。ふるさとがなくなるという思いはあるだろうけど、元々地域というのはそんなもの。ノスタルジーは過去にしか向かわない。次世代の幸せのためにどういう経済価値を残すかを考えないといけない。

幸せを生む地域の条件ってなんだと思いますか?

冨山:企業体が強くて生産性があって賃金が高いこと。さりながら、人は相応の豊かさがあれば、お金持ちじゃなくても幸せです。そういう意味では、昨日よりも明日、去年よりも来年が貧しくなっていないことが大事でしょうね。頑張った結果として、今より未来がましになる。

 グローバルメガベンチャーを生む必要はない。それは東京に任せればいい。コンビニ、レストラン、バス、医療、介護、地域の人たちのインフラを支える人が主役なんだから。その人たちが「今より未来」を実現できているかどうかだと思う。



3月11日で東日本大震災から7年を迎えます。被災地の復興が進む一方、関心や支援の熱が冷めたという話もあちこちから聞こえてきます。記憶の風化が進みつつある今だからこそ、大震災の発生したあの時、そして被災地の今について、考えてみる必要があるのではないでしょうか。

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