例えば、少し前に携帯キャリアのナンバーポータビリティ制度が導入されましたよね。当時、あの制度のKPIを「ユーザー流出率」として、過敏な行動を取っている会社が見られました。
でも、業界全体を俯瞰的に見れば、流出はわずかな話。それを防ぐために必死にキャンペーンを打つよりも、他にやることがあったはずです。
経営層は忙しいから、すべての数字を細かく見ることはできません。そんな中で、経済記者などに「ナンバーポータビリティで、流出がこんなにあったらまずいのでは」と言われると、やっぱり気になってしまう。そこで、本来ならミドル層が数値に対して正しい解釈をして、上に提言すべきだったんですよ。

シバタ:ファイナンス・リテラシーのトレーニングは若いうちにやっておくべき、と思っていました。でもそう言われてみると、ミドル層では求められる分析や思考の深度も変わってきます。
結局、役割に応じてファイナンス・リテラシーを磨き続ける必要があるんですね。
本荘:プロダクトについて細かくKPIの数字を拾って、競合他社と比較する……といった面倒くさいことを、本当はもっと愚直にやったほうがいい。
自分で決算を読んで、分析して、世の中や企業の仕組みを学ぶ。それを続けることが、ビジネスパーソンとしての血肉になっていくんです。
シバタ:貴重なお話、どうもありがとうございました。
(取材・構成/崎谷実穂)
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