決算書を読み解くことでビジネスモデル別の成長戦略が理解できるようになると評判の書籍『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』。著者のシバタナオキ氏は、決算に載っているような数字の情報をビジネスで使える知識に変換する力を「ファイナンス・リテラシー」と呼んでいます。

 このファイナンス・リテラシーを高める方法を、さまざまなトップビジネスパーソンとの対談で探っていく短期連載、第4回に登場するのは経営コンサルタントであり、多摩大学(MBA)客員教授の本荘修二氏です。

 ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に勤めた後、米ペンシルバニア大学ウォートン校でMBAを取得し、複数の米国企業で働いていたという経歴を持つ本荘氏。そんな同氏が指摘する「ここが変だよ日本のファイナンス・リテラシー」とは?

アメリカのCFOは「会計屋さん」ではない

シバタ:本荘さんは、米国企業で働かれた後、日本の大企業やベンチャーのコンサルティング、アドバイザーをされています。アメリカと日本のビジネスパーソンを比べてみて、事業数字に対してのリテラシーの違いはあると思われますか?

本荘:大いにありますね。そもそも日本のビジネスシーンには、アメリカに比べると数字を無視しがちな文化が根強く残っています。

<span class="fontBold">本荘修二(ほんじょう・しゅうじ)氏</span><br />ボストン コンサルティング グループ(BCG)、米Computer Sciences Corp.にて経営コンサルティングに従事した後、CSK(現・SCSK)/ セガ・グループで会長付・グループ戦略室マネジャーを務める。IT特化の投資育成会社General Atlantic LLC日本代表などを経て、独立して本荘事務所の代表に。現在は日米の会社でアドバイザーや社外役員を務めながら、新事業・イノベーションのコンサルティングを手掛けている。また、シードアクセラレーターの500 Startupsアドバイザーほか、始動Next Innovator、福岡県他のメンターも務め、起業家育成、コミュニティづくりに尽力している。早稲田大学博士(学術:国際経営)。(写真:竹井俊晴、以下同)
本荘修二(ほんじょう・しゅうじ)氏
ボストン コンサルティング グループ(BCG)、米Computer Sciences Corp.にて経営コンサルティングに従事した後、CSK(現・SCSK)/ セガ・グループで会長付・グループ戦略室マネジャーを務める。IT特化の投資育成会社General Atlantic LLC日本代表などを経て、独立して本荘事務所の代表に。現在は日米の会社でアドバイザーや社外役員を務めながら、新事業・イノベーションのコンサルティングを手掛けている。また、シードアクセラレーターの500 Startupsアドバイザーほか、始動Next Innovator、福岡県他のメンターも務め、起業家育成、コミュニティづくりに尽力している。早稲田大学博士(学術:国際経営)。(写真:竹井俊晴、以下同)

シバタ:具体的に、どんなシーンでその文化を強く感じますか?

<span class="fontBold">シバタ ナオキ氏</span><br />元・楽天株式会社執行役員、東京大学工学系研究科助教、スタンフォード大学客員研究員。東京大学工学系研究科博士課程修了(工学博士、技術経営学専攻)。スタートアップを経営する傍ら、noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中。経営者やビジネスパーソン、技術者などに向けて決算分析の独自ノウハウを伝授している。2017年7月に書籍『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』(日経BP社)を発刊。
シバタ ナオキ氏
元・楽天株式会社執行役員、東京大学工学系研究科助教、スタンフォード大学客員研究員。東京大学工学系研究科博士課程修了(工学博士、技術経営学専攻)。スタートアップを経営する傍ら、noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中。経営者やビジネスパーソン、技術者などに向けて決算分析の独自ノウハウを伝授している。2017年7月に書籍『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』(日経BP社)を発刊。

本荘:経営でもマーケティングでも、あらゆるシーンで感じますね。とにかく数字を使わない、見ないのが習慣になっている。しかも、いざ数字を基に戦略を立てようとすると、偏った見方をしがちです。

 ベンチャーキャピタルの人たちも、投資先のビジネスモデルや戦略ばかり重視してリターンの見積りが甘く、逆にリターンばかり追求してしまうケースが多いように感じます。

 シバタさんが『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』で伝えているのは、「経営数値を総合的に分析すれば、成長戦略から次の一手まで、いろいろなことが見えてくる」ということですよね。それができない日本人は非常に多いですよ。