篠田:財務会計の数字って、勉強だけしても腹落ちしないものですよね。モノがお金に変わり、お金がモノに変わる。その過程を実際に見たことがあると、数字が実感と掛け合わさって、仕事に活かせる知識に変わるのだと思います。

 売上があって、原価があって、引き算すると利益があるという構造。そして、BSの基本である、持っているものと借りているものがあるという、この5要素のイメージは、社会で働く誰もが持っていたほうがいいと思っています。

シバタ:本当にその通りですね。それを、棚卸しという行事を通じてそれとなく伝えようとした篠田さんのアイデアもすごいです。

篠田:商品開発側の人たちにも一緒に来てもらわないと、私自身が何の商品なのか見分けられないという理由もありましたが……(笑)。

 実際に倉庫に行ってみたら、もうね……とにかくダンボールが積み上がっていました。中身が何かも書いていない。で、箱を開けると、腹巻きがどっさり入っている。そこで腹巻き担当に、何年に作った何という商品なのかを聞いて、サイズ展開も聞いて、1個ずつ数えていくんです。

 最初はみんな「わー、これ懐かしい!」なんてキャピキャピやっていたんですけど、だんだん疲れて無言になっていきました。この日の辛さは、みんな体に染み込んだと思います。

「行動」によって意識を変えるきっかけを作ったと話す篠田氏
「行動」によって意識を変えるきっかけを作ったと話す篠田氏

シバタ:「在庫が増えるとヤバい」ということを、社員全員で学ぶ場になったわけですか。

篠田:ええ。それに、一緒に倉庫へ行くと、商品を作った人たちなので「この商品はもう一度こういう打ち出し方をしたら売れるかも」「染め直したら別の魅力が出てきそう」といったアイデアが出てくるんですよ。

 これは、管理部だけで在庫チェックに行ったら絶対に出てこない発想です。私自身も、商品企画チームの企画力を見せてもらって、一緒に来てよかったなと思いました。

 それからは毎年、全社員で棚卸しに行って、いまやちょっとした社内イベントになっています。

シバタ:いいですねえ。何より楽しそう。それ、株主優待にしたらどうですか(笑)。ほぼ日の倉庫に入れるなんて、やりたい人がいっぱい、いそうです。

篠田:「はい、この箱の山は全部手帳です」みたいに案内したりして(笑)。

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