計画があるから軌道修正ができる

シバタ:なるほど、そういう数字の強さなんですね。中学生、高校生の頃はどうだったんですか?

経沢:それが、その頃に大きな挫折を経験しまして。中高一貫の私立女子高に通っていたのですが、周りの同級生が本当に頭がよく、息を吸うように勉強する子ばかりだったんです。

 私は勉強が苦手でした。なので、一度人生の目標を見失って、ボーっとしていたら、大学受験に全部落ちてしまって。そこから必死で勉強し直して、何とか慶應義塾大学に入った、という感じでした。

シバタ:その後、大学を卒業してリクルートにご入社された理由は何だったのですか?

女性起業家として注目を集める前はリクルートや楽天で働いていた経沢氏
女性起業家として注目を集める前はリクルートや楽天で働いていた経沢氏

経沢:当時は就職氷河期で、しかも女性だと会社説明会にすら入れてくれない会社も多かった気がします。OB訪問でも、「女性は男性の2倍頑張っても評価されないよ」なんて言われるので、わざわざ討ち死にしに行くのも嫌だな、と。

 そうこうしている中で出会ったリクルートは、そういう風土ではなかったんですよ。営業担当として、1年目でも5年目社員と同じ売上を上げれば同等の評価をしてくれる。リクルートで営業をやれば、キャリアを“早送り”できるんじゃないかと思って決めました。

シバタ:実力主義で評価される会社に入りたかったのですね。

経沢:はい。というのも、当時の私は「30歳で結婚して子どもを産む」と何となく決めていまして。だから、30歳までに何者かにならないと、という焦りがありました。

シバタ:合理的というか、計画的な生き方は変わっていなかったと(笑)。

経沢:そうですね(笑)。

シバタ:でも、著名な経営者ほど、先に中長期目線でゴールを決めてから計画を立てると言いますよね? そういう意味では、仕事でもプライベートでも、先々の目標は絶対に立てておいたほうがいい。

 計画通りに進まないことのほうが多いものですが、目標がないと、どう軌道修正すればいいかも分からなくなりますから。

経沢:本当にその通りですね。リクルートで営業をしていた時も、会社に与えられた目標数字に対して、個人的に倍くらいの自己目標を設定していました。

 倍の金額にして行動計画を立てると、予想外の失注があっても、必ず100%は達成できるので。

シバタ:そういう感覚は、事業を行う上でとても役に立ちますよね。

次ページ 数字が苦手な人は「ゴールから考える」習慣を