管理会計ができると、人は誰でもヒーローになれる

シバタ:最後に。須藤さんご自身は、経営者になってから数字の捉え方が変わったりしましたか?

須藤:シバタさんのnote「決算が読めるようになるノート」を読んでいてすごく刺さったのは、「決算を出すスピードが速い会社は良い会社」という話です。

 お恥ずかしながら、うちの会社は決算がめっちゃ遅かったんですよ。なので、それを今、速くしようと頑張っています。

シバタ:米ネットフリックスなどはとても速いですよね。日本だと、サイバーエージェントが速いです。サイバーエージェントは子会社がたくさんあるから、複雑な処理が必要なはずなのに速い。ということは、相当仕組み化されているのだと思います。

須藤:仕組み化を徹底していると、事業の改善もやりやすくなりますよね。弊社でも、業務のどこに無駄があるのか、ブラックボックスがどこなのか、といった問題点がちょっとずつ見えてきました。

 時間は経営においてすごく重要なコントロール要素ですから、会計処理の時間を速めれば速めるほど欠点が浮き彫りになるというか。

シバタ:それはとても大事な発見ですね。

須藤:事業計画を立てるということは、解けないパズルを解くようなものだと思うんですよ。売上を上げたい。コストは抑えたい。でも物理的に不可能。だったらどうする?

 そういうことを延々と考えて、たどり着いた結論が、管理会計※2が強い会社が絶対強い、ということで。

※2...管理会計:事業計画書などを作成するために使用する、社内に向けた会計情報。自社の現状把握や今後の経営管理を行うことを目的としている。形式の指定はなく、会社ごとに任意の方法で作成する

 管理会計をちゃんとしていると、変えるべき変数がなんなのか、すぐに分かるんですよね。これをこうするためには、こっちをこうして……と行きつ戻りつ考えていると、過去の実績がどうだったのかも見たくなる。

 でもそこで、スナップショットの財務諸表しか残ってない、つまり管理会計をしっかりやってこなかったら、過去の実績を追うことができない。ゆえに事業が改善できないんです。

シバタ:おっしゃる通りです。

須藤:自分の仕事を数字で分解して管理できたら、経営者だけでなく、現場のメンバーでも業績を改善することができるはずです。

 営業だったら、訪問数、商談数、アポイント数、リードタイムなどのKPIがあって、そこから受注数、受注総額といった数字が生まれてくる。それらを、時間や人など何らかの観点で切り取って見てみることで、どこを変えるべきかがわかります。

 僕は、どんな立場の人でも管理会計が分かっていると、会社のヒーローになれると思っているんです。

シバタ:いい言葉ですね! 管理会計というと、人によっては官僚的というか、ネガティブなイメージを持っているかもしれません。でも、事業を改善するための有用なツールだと分かれば、管理会計に強くなろうという人も増えるでしょう。

須藤:管理会計こそ、本当に強い経営を生み出すエンジンですよ。財務会計みたいに結果として固まっている数字ではなく、クリエイティビティにあふれる、ダイナミックな数字だと思います。

シバタ:とても有益なお話、ありがとうございました。

(取材・構成/崎谷実穂、写真/伊藤健吾)

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