シバタ:お話を聞いていると、須藤さんがA/Bテストで効果が高いサイトUIなどを見つけるKaizen Platformを立ち上げたのは、必然のように思えてきました。
須藤:確かに、リクルートの頃からいろいろ試して改善しようとしていましたね(笑)。週刊誌に月刊誌、またテーマや業界が違うたくさんのムックなど、さまざまな雑誌を担当できたのは、今振り返ってとてもよかったなと思います。
横断する部署にいると、いろいろな事業のマーケティングを担当して、それぞれの決算を見ることになるからです。同じようなビジネスをやっているのに、なぜこんなに最終的な数字が違うんだろう? ということを考えるようになりました。
シバタ:僕も楽天に勤めていた時は経営企画室にいたので、楽天グループでFinTech以外の事業はほぼ全部かかわりました。で、その頃に、各事業のサイトでPVあたりの売上を計算したことがあるんですよ。
須藤:それ、面白そうですね。どんな結果だったんですか?
シバタ:例えばeコマース事業は、ポータル事業やブログ事業に比べて、PVあたりの売上がめちゃくちゃ大きいことが分かりました。
だから、eコマースではサーバ代などインフラにかかるコストをあまり気にしなくていいんです。どれだけ使っても、売上に対して誤差の範囲なので。
でも、インフラ構築の際、会社としてはどの事業のサイトも同じくらいのセキュリティレベルにしないといけないというようなルールがありました。それだと、同じコスト構造でやる以上、ポータル事業やブログ事業は黒字化が難しくなります。
そこで、事業に応じてインフラ構築のルールを変えるべきだというような提案をしました。
須藤:そういう視点は、横串で見てみないとなかなか身に付かないものですね。
シバタ:ええ。おっしゃる通り、こういう数字の見方ができるようになるには単一業務に埋没していると難しいじゃないですか。須藤さんは今、経営者として数字が苦手な社員にはどういう指導をしていますか?
須藤:やっぱり、自分事になるように数字の話をしてあげないとダメですよね。僕もリクルートの時、自分が担当している雑誌以外は興味が持てませんでしたから。
弊社のミッションはお客さんのビジネスを改善すること。Kaizen Platformを名乗っているので、「改善しないと」というプレッシャーは全員感じていると思います。だから、みんなお客さまのKPI(重要業績評価指標)を改善しよう、そもそものKPIを適切に設定しよう、と必死です。
そのためにも、「いろんなビジネスモデルを分析して、KPIに分解する作業を大量にこなすのが大事だよね」「場数を踏むことで、数字を読む訓練になるよ」と話しています。
シバタ:なるほど。僕も決算が読めるようになったのは、数をこなしたからです。
本にも書きましたが、楽天の全体朝会で発表するネタを集めるために、たくさんの企業の決算を読まなければならなかった。そして、そこから何かを発見しないと、というプレッシャーが毎週ありました。
須藤:そういう居心地が悪いところに身を置くことが、一番成長しますよね。僕もリクルートでの新人時代、取次さんに教えてもらう数字を書き写し間違えたら全部イチからやり直しになる、という恐怖に怯えていました(笑)。売上や初速を読み間違えて、上司に怒られるなんてしょっちゅうでしたし。
こういうプレッシャーによって、数字感覚が体に染み付いていったんだと思います。
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